受け身の「過去の文」を作るときに、次のようなミスが起こることがあります。
この本は私の祖父によって書かれました。
× This book was wrote by my grandfather.
こうしたミスを見ると、「この子は過去分詞を覚えていない」「受け身の作り方を理解していない」と思ってしまいますよね。確かに、そういうケースもあります。
ですが、それだけが原因とは限りません。
過去分詞も受け身の作り方も知っているのに、「was wrote」と書いてしまうケースもあります。
なぜ、そういうミスが起こるのでしょう?
なぜwas wroteと書いてしまうの?
この本は私の祖父によって書かれました。
× This book was wrote by my grandfather.
過去分詞や受け身の作り方を知っていても、なぜ上のようなミスが起こるのでしょう?
その理由の1つとして考えられるのは、「受け身のルール」と「過去形のルール」が、頭の中でごちゃ混ぜになっていることです。
たとえば、こんなふうに考えているのかもしれません。
「書かれました」だから過去だ。過去形にしよう。
↓
was
↓
過去の話だから……、そうだ、writeも過去形にしなきゃ。
↓
wrote
「受け身のルール」を知っていても、「過去の話だ」と考えるうちに、「過去形のルール」に引っ張られてしまうのです。
受け身の「現在の文」は比較的よく書けるのに、「過去の文」になると間違えることが多い。こういう場合は、「過去形のルール」に引っ張られている可能性があります。
「見える化」で教える
頭の中で「受け身」と「過去形」のルールがごちゃ混ぜになっている子には、ルールを整理してあげる必要があります。
ただ、いきなり
「受け身では、過去の文も〈be動詞+過去分詞〉だよ」
といった理屈から入ると、かえって混乱するかもしれません。具体的に何を意味しているのか、イメージしづらいためです。
そこでおすすめなのが、「見える化」で教える方法です。
まず、現在と過去の文を見比べて、「過去になると、どの言葉が変わって、どの言葉が変わらないのか」を目で確認します。
そして、見えてきたパターンをもとに、ルールとして言葉で整理します。
つまり、
「目で見てパターンをつかむ」
↓
「ルールとして整理する」
という順で進めていきましょう。
まずは具体例を目で見て確認
現在と過去の文を見比べて、受け身のパターンをつかみます。
〈教え方の例〉
まず、現在と過去の文を並べてみよう。
【現在】 英語は多くの国で話されています。
English is spoken in many countries.
【過去】 英語は多くの国で話されていました。
English was spoken in many countries.
2つの英文を比べてみよう。
過去の文になると、どの言葉が変わった?
→「isがwasになった」
spokenは変わった?
→「変わってない」
では、次の文も比べてみよう。
【現在】カナダでは、パンケーキが食べられています。
Pancakes are eaten in Canada.
【過去】カナダでは、パンケーキが食べられていました。
Pancakes were eaten in Canada.
過去の文になると、どの言葉が変わった?
→「areがwereになった」
eatenは変わった?
→「変わってない」
このように、「過去になると、どの言葉が変わって、どの言葉が変わらないのか」を目で見てパッとわかる形で示します。
子どもたちも「ここ(be動詞)が変わるんだな」と気づきやすくなるでしょう。

理屈はあとから!
受け身のパターンをつかんだところで、「受け身のルール(理屈)」を言葉で整理します。
〈教え方の例〉
am/is/are/was/wereは、be動詞というグループの言葉だったね。
受け身では、現在の文でも過去の文でも、be動詞の後ろに過去分詞がくるんだよ。

「現在と過去では、何が同じで、何が違うのか」を具体的に見たあとなら、上のようなルールも理解しやすくなるはずです。
さて、ここまで、
「目で見てパターンをつかむ」
現在と過去の文を見比べて、受け身のパターンをつかむ
↓
「ルールとして整理する」
「受け身では、現在の文でも過去の文でも、be動詞の後ろに過去分詞がくる」と整理する
というところまで進みました。
次は、「ルールを使う」です。受け身のルールを実際に使う練習をします。
練習問題は2段階で
まず、現在と過去を見比べながら、受け身のルールを使って文を作ります(Step1 現在・過去の「見比べ」レッスン)。
次に、現在・過去を見比べなくても、自分で判断してルールを使い、文を作れるようにします(Step2 テスト対策! まぜこぜ実践ワーク)。
Step1 現在・過去の「見比べ」レッスン
現在と過去をセットで練習します。2つを見比べながら、受け身のルールを使って文を作ります。
〈問題の例〉
日本語に合うように、空欄に適切な語を入れなさい。
(1) この国では、英語が話されています。
English ( )( ) in this country.
(2) この国では、英語が話されていました。
English ( )( ) in this country.
(3) これらの歌は、多くの国で歌われています。
These songs ( )( ) in many countries.
(4) これらの歌は、多くの国で歌われていました。
These songs ( )( ) in many countries.
【解答】
(1) is spoken
(2) was spoken
(3) are sung
(4) were sung
現在と過去を見比べて、「過去になると、どこが変わって、どこが変わらないか」を確認してみてください。
Step2 テスト対策! まぜこぜ実践ワーク
Step1では、現在と過去の文をセットで見比べました。それにより、過去の文を作るとき、先に書いた現在の文を見ながら、
「areをwereに変える」
「eatenはそのままにする」
と考えることができます。
でも、テストでは、現在と過去の文が、それぞれ単独で(独立して)出題されます。
そのため、過去の文を作るときにも、自分で、
「過去の文だから、be動詞を過去形にする」
「受け身だから、be動詞の後ろには過去分詞を置く」
と考える必要があります。
つまり、現在の文をヒントにして文を作るのではなく、受け身のルールを自分で使って文を作るのです。
その練習として、現在・過去の文がランダムに出てくる問題に取り組んでみてください。
〈問題の例〉
日本語に合うように、空欄に適切な語を入れなさい。
(1) この本は私の祖父によって書かれました。
This book ( )( ) by my grandfather.
(2) これらの花は日本で育てられています。
These flowers ( )( ) in Japan.
(3) この写真は去年撮影されました。
This picture ( )( ) last year.
(4) この地域では、多くの言語が話されていました。
Many languages ( )( ) in this area.
【解答】
(1) was written
(2) are grown
(3) was taken
(4) were spoken
現在と過去の対比がないと、最初は迷ってしまう子もいるかもしれません。
もし迷ったら、下のルールをもう一度確認してみてください。
「受け身では、現在の文でも過去の文でも、be動詞の後ろに過去分詞がくる」
まとめ
この本は祖父によって書かれました。
× This book was wrote by my grandfather.
「was wrote」と書いてしまうのは、過去分詞や受け身のルールを知らないからとは限りません。
「受け身」と「過去形」のルールが頭の中で混ざっている可能性もあります。
その場合は、いきなり「受け身のルールを覚え直そう」とせず、
「目で見てパターンをつかむ」
まずは現在と過去の文を見比べて、「過去になると、どの言葉が変わって、どの言葉が変わらないのか」を確認する。
↓
「ルールとして整理する」
見比べてわかったことを、受け身のルールとして整理する。
↓
「ルールを使う」
現在と過去を見比べながら文を作る。慣れてきたら、現在と過去がランダムに出てくる問題でも、自分で判断してルールを使えるようにする。
という流れで進めるのがおすすめです。
少しずつ進めれば、頭の中で混ざっている「受け身」と「過去形」のルールを整理しやすくなると思います。
よかったら、実践してみてください。
