【中学英語】不定詞(~べき・~ための)を教えるときのコツ4つ

不定詞(~べき・~ために)を教えるときのコツ4つ 中学英語の教え方

不定詞の形容詞的用法(~するべき・~するための)を、勉強が苦手な中学生にどう教えるか? そのコツを4つご紹介します。

形容詞的用法は、なかなかのクセモノです。でも、教え方を少し工夫すれば、勉強が苦手な子も文法問題にチャレンジしやすくなりますよ!

(1)「名詞を後ろから修飾する」という解説はしない

問題集には、不定詞の形容詞的用法について、「名詞を後ろから修飾する(説明する)」といった解説がよく載っています。

I have many books to buy.という文では、名詞booksを、to buyが後ろから修飾している。

でも、勉強が苦手な子に教えるなら、この解説はオススメしません。

この解説を理解するには、国語の時間に習う「修飾・被修飾の関係」というのを分かっておく必要があります。

ですが、勉強が苦手な子の場合、「修飾・被修飾の関係」を理解していないことがよくあるのです。

「修飾・被修飾の関係」というと何やら小難しく聞こえますけど、ざっくり言うと、「どの言葉が、どの言葉を説明しているか」ということです。

たとえば、「買うべき本」の場合、「買うべき」が「本」をくわしく説明していますよね。

そういうことを国語の時間に理解しておかないと、「名詞を後ろから修飾する(説明する)」という解説を聞いても、ややこしく感じられるのです。

ですので、勉強が苦手な子に教える場合、「名詞を後ろから修飾する(説明する)」と解説するのはオススメしません。

では、どう教えればいいのか?

(2)「“~するべき”は後回し!」と教える

オススメなのは、「“~するべき”は後回し」と教える方法です。具体的には、こんな感じで説明します。

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「私は、買うべき本がたくさんあります」これを英語にしてみよう。まず、「私は本がたくさんあります」とだけ言うよ。「買うべき」は後回しにするんだ。

I have many books

ここまで書いたら、〈many books〉の後ろに「買うべき」という情報を付け足そう。「~するべき」と言うときは、〈to + 動詞の原形〉というカタマリを使うんだ。「買う」は buy だから、「買うべき」は〈to buy〉となるよ。

I have many books to buy.
私は→ あります→ たくさんの本→ 買うべき、という順で単語を並べたね。

「たくさんの本」と言ってから「買うべき」を付け足す。これがポイントだよ。「~するべき」は、後回しね。
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「~するべき」以外のことをまず書いて、そのあと「~するべき」を付け足す。そういう「単語を並べる順番」を子どもに意識させます。

そうすれば、「修飾・被修飾」の概念が分からない子でも、問題集やプリントにチャレンジしやすくなりますよ。

なお、have の訳し方で戸惑う子もいるので、次のように補足してみてください。

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have は、「持っている」という意味だったね。でも、「あります」という意味で使うこともあるよ。
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(3)「~するべき」以外の訳し方は、あとで教える

不定詞の形容詞的用法は、「~するべき」のほかに、「~するための」「~する」「~しなければならない」などと訳されることがあります。

こういう訳し方を最初から全部教えると、勉強が苦手な子は形容詞的用法を理解しづらくなってしまいます。

というのも、「単語を並べる順番」と「さまざまな訳し方」を同時に覚えないとならないからです。

複数のことを同時にやろうとすると、結局どちらも中途半端に終わってしまう……なんてことになりかねません。

ですので、まずは「“~するべき”は後回し!」というルールだけを教える。そして、そのルールに子どもが慣れたら、ほかの訳し方も教える。そんなふうに、覚えるべきことを小出しにすると、子どもも付いてきやすくなりますよ。

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「~するべき」という情報は後回しだったね。

私は、買うべき本がたくさんあります。I have many books to buy.

このように、後回しにする情報は「~するべき」のほかにもあるよ。

「~するための」
私は、ゲームをするための時間が欲しい。I want time to play games.

「~する」
彼は、読む本がたくさんあります。He has many books to read.

「~しなければならない」
私たちは、やらなければならない宿題がたくさんあります。We have a lot of homework to do.
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このように、まずは「“~するべき”は後回し!」というルールを教え、そのあとほかの訳し方も教えます。

なぜ、定番以外の訳も教えるのか?

いろいろな訳のうち、定番といえば「~するべき」と「~するための」です。ほかの2つ(「~する」「~しなければならない」)は、意味としては定番の訳と同じです。

たとえば、「やらなければならない」は「やるべき」と同じですよね。同様に、「読む本」は、「読むべき本・読むための本」と同じ意味です。

でも、そのことをなかなか理解できない子もいます。そういう子どもたちは、文法問題で「~するべき」「~するための」以外の訳を目にしたときに、戸惑ってしまうことが多くあります。

ですので、(たとえ意味は同じでも)さまざまな訳をひと通り教えておいたほうが、問題集に取り組みやすくなります。

(4)〈something to ~〉は、「何か~する物」と教える

不定詞の形容詞的用法では、something を使った言い回しがよく出てきます。その代表選手と言えば、〈something to eat〉(何か食べる物)ですね。

こういう〈something to ~〉については、「何か~する物」という訳し方をまるっと教えるのがオススメです。

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〈something to ~〉で、「何か~する物」「何か~すること」という意味になるよ。

something to eat は「何か食べる物」、something to drink は「何か飲む物」、something to do は「何かすること」となるんだ。
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問題集には、次のような解説が載っていることがあります。でも、勉強が苦手な子に教えるときには、オススメしません。

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〈something to eat〉は「食べるための何か」。つまり、「何か食べる物」という意味である。
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この解説方法をオススメしない理由は、子どもが混乱する恐れがあるから、です。

勉強が苦手な子は、話の要点をとらえるのがあまり得意ではありません。「食べるための何か、つまり、何か食べる物」と言われても、結局どう訳すべきなのかが理解しづらいのです。

ですので、「何か~する物」「何か~すること」という訳し方をズバリ教えたほうが、文法問題を解きやすくなります。


今回は、「不定詞の形容詞的用法を教えるときのコツ」をご紹介しました。

形容詞的用法は、なかなかのクセモノです。「修飾・被修飾」の概念が分からない子にとっては、理解するのが大変です。しかも訳し方がいろいろあるので厄介ですよね。

でも教え方を少し工夫すれば、勉強が苦手な子も文法問題にチャレンジしやすくなります。そして基礎的な文法問題を解けたら、「自分もできるんだ」という手ごたえをきっと感じられますよ。