勉強が苦手な子(特に、定期試験で平均点を下回る子)に、不定詞の副詞的用法(「~するために」)をどう教えるか? そのポイントをご紹介します。
勉強が苦手な子にとっては何が難しいのか?
それを踏まえた上で少し工夫すれば、子どもたちも不定詞を理解しやすくなりますよ。
勉強が苦手な子にとってのハードル
副詞的用法(「~するために」)を学習する上でのハードルは、2つあります。
ハードル 1
1つ目は、「出てくる動詞がやたらと多い」ということ。
不定詞は〈to + 動詞の原形〉という形をしています。ですので、不定詞の単元で動詞が出てくるのは当然なのですが、副詞的用法では特にたくさん出てきます。
でも勉強が苦手な子は、動詞そのものをあまり覚えていません。
そのため、不定詞の単元では、「知らない動詞が次々に出てきて難しい」ということになるのです。
ハードル 2
2つ目のハードルは、「日本語の文の構造を把握する必要がある」ということです。
穴埋め問題や英訳問題を解く場合、「だれだれは~するために〇〇する」という日本語の文を読みますよね。そのとき、次の2つを把握しないとなりません。
- 「主語・述語」はどれか?
- 「~するために」のカタマリはどれか?
でも、勉強が苦手な子にとっては、たとえ日本語の文であっても、その構造を理解するのは簡単ではありません。
ここまで見てきたように、勉強が苦手な子には、「動詞を覚えていない」「文の構造を把握するのが苦手」という問題があります。
では、それを踏まえた上で、副詞的用法の教え方を見ていきますね。
副詞的用法の教え方3ステップ
教えるときのポイントは、“細分化”。覚えるべきことを3つのステップに分け、少しずつ説明します。
一度にガーッと教えると、子どもが情報を処理しきれません。情報はちょっとずつ、小出しにするのがコツです。
1. 動詞と〈to+動詞の原形〉のカタマリに慣れさせる
まず、次のように説明します。
「~するために」と言うときには、〈to + 動詞の原形〉というカタマリを使うよ。「走るために」なら、〈to run〉だね。
そのあと、いきなり英訳問題などに入るのはオススメしません。動詞をあまり覚えていない子にとっては、難易度が高すぎるからです。
ですので、まずは「いろいろな動詞に触れながら、〈to + 動詞の原形〉というカタマリに慣れる」というウォーミングアップが必要です。
具体的には、下のような不定詞のカタマリを作ります。子どもの知らない動詞があれば、つづりと発音を教えてあげてください。
勉強するために ( to )( study )
会うために ( )( )
作るために ( )( )
このとき、次のような動詞を教えておくのがオススメ。あとで文法問題を解きやすくなりますよ。
- 教科書(副詞的用法のページ)の中で、不定詞として使われている動詞
- 中学英語でよく出てくる基本の動詞(study, make, see, buy, be など)
2. 文の作り方を説明する
不定詞のカタマリに慣れたところで、いよいよ文を作ります。「だれだれは、~するために〇〇する」という文ですね。
(例)I get up early to run.
文の作り方を子どもに説明するときには、「日本語と語順が異なる」という点を強調します。
日本語と違って、「だれだれは、〇〇する」と言ったあと、「~するために」という目的を付け加えるんだよ。つまり、「~するために」を最後に置こう。
そう説明したあと、不定詞を書く穴埋め問題に入りましょう。
(穴埋め問題の例)
彼は田中さんに会うために東京を訪れた。
He visited Tokyo ( )( ) Mr. Tanaka.
この穴埋め問題の目的は、「“~するために” は文の最後に置く」という語順に慣れることです。
3. 和文の構造にスポットライトを当てる
穴埋め問題ができたら、次は並べかえ問題や英作文問題です。
ですが、いきなりそれをするのは大変なので、まずは「日本語の文の構造を読み解く」という練習をします。
つまり、日本語の文を見たときに、
- 「だれだれは、〇〇する」の部分はどこか?
- 「~するために」のカタマリはどこか?
……を見分ける練習です。
(例文)私は走るために早く起きる。
この日本語の文の中で、「~するために」のカタマリを□で囲もう。
「~するために」のカタマリを□で囲めたら、こう説明します。
囲んでいない部分、つまり、「だれだれは、〇〇する」という部分をまず英語に訳そう。
このように「日本語の文がどんな構造になっているのか」を子どもが意識しやすくなるように、説明してみてください。
並べ替え問題や英作文問題を全部自力で解くのは、結構大変です。
でも、大人が少しサポートすれば(つまり、文の構造を意識しやすくなるように説明すれば)、並べ替え問題などに子どももチャレンジしやすくなります。
まとめ
この記事では、不定詞の副詞的用法の教え方をご紹介しました。
「動詞を覚えていない」「文の構造を把握するのが苦手」という子に教えるときには、覚えるべきことを細分化するのがコツです。
学習する上でのハードルをそうやって取り除いてあげれば、子どもたちも、副詞的用法を使った英文を書きやすくなると思います。
よかったら実践してみてください。
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また、単元によっては練習問題の前に、例題と解答が載っています。これはポイントが高いと思います。文法問題に慣れていない子も「こんなふうに解けばいいんだな」というのがわかりますからね。
さらに並べかえ問題には、パズル感覚で取り組めるような工夫が施されています。
今回ご紹介する3種類の中では、勉強が苦手な子にとって、最も取り組みやすい練習問題だと思います。
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