「3人称単数現在形の s」、略して「3単現の s」は、中学生がつまずきやすい文法の1つです。「何度教えても分かってもらえない!」という経験、ありませんか?
この記事では、「3単現の s」でつまずく原因と、教え方のコツをご紹介します。
「3単現のS」でつまずく原因
なぜ子どもたちは「3単現の s」でつまずくのか? それは、「ルールがやたらと難しく聞こえるから」だと考えられます。
「主語が3人称単数で時制が現在のときは、一般動詞の最後に s をつける」
……というルールは文法用語がてんこ盛りで複雑。
そのせいで「3単現の s」のルールは、いたずらに難しく聞こえてしまいます。
でも実際のところ、「3単現の s」は意外とシンプル。
教え方を少し工夫すれば、勉強が苦手な子どもたちも、「3単現の s」に抵抗がなくなります。
では、どのように教えればいいのでしょう?
「3単現のS」の教え方
説明するべきことを細分化して、少しずつ教える。そうすれば、勉強が苦手な子も理解しやすくなります。
私がオススメするのは、3つのステップに分けて教える方法です。
- 「人称」という用語を使わずに「s のつけ方」を説明する
- 3単現の「現」について説明する
- es をつける動詞について、ざっくり教える
では、3つのステップをひとつずつ見ていきましょう。
【ステップ1】「人称」という用語を使わずに「Sのつけ方」を説明する
子どもたちの中には、「人称」という概念がピンとこない子もいます。
そこで、「3人称単数」の代わりに、「(主語が)I・you 以外で単数」と教えます。
これなら、「この主語は何人称だっけ?」といちいち考える必要がありません。
「I・you以外で単数」の具体例を挙げる
ただし、いきなり「I・you 以外で単数」と言われても、多くの子が「はぁ?」という感じになるでしょう。
「I・you 以外で単数」というのが、具体的に何を指しているのかが分かりにくいですからね。
そこでまず、「I・you 以外の主語」にはどんなものがあるのか、子どもに例を挙げてみせます。
たとえば、he, my sisters, Ms. Tanaka, this dog, we などです。単数と複数、どちらも含めてください。
次に、それらの中で「単数はどれか?」を子どもに考えさせます。he, Ms. Tanaka, this dogが単数ですね。これらは、「I・you 以外で単数」ということになります。
このように具体例を見せれば、子どもも理解しやすいですよね。
「Sをつける」というルールを説明する
「I・you 以外で単数」の意味を子どもが把握したら、いよいよ「s」の出番。「主語が I・you 以外で単数のときは、一般動詞に s をつける」と説明します。
この時点では、3単現の「現」、つまり「時制が現在のとき」という条件には触れません。
「時制」に触れる前に、まずは「I・you 以外で単数」という条件にだけフォーカス。そのほうが、子どもたちも頭がゴチャゴチャならずにすみます。
【ステップ2】 3単現の「現」について説明する
「I・you 以外で、単数」という条件を子どもたちが理解したところで、時制について説明します。
~~~~~~~~
s をつけるときには、注意点が1つあるよ。何かというと「過去の話をするときは、s をつけない」ってこと。s をつけるのは、現在の話をするときだけだよ。
~~~~~~~~
このように、「時制が現在のとき」という条件を最後に付け加えれば、子どもたちも情報を整理しやすくなります。
最初からいきなり、「時制が現在で、主語がI・you 以外で単数のとき」なんてガ~ッと言われても、情報を処理するのは難しいですよね。情報は小出しにするのがポイントです。
なお、まだ過去形を学習していない場合は、時制の説明は省いてください。
【ステップ3】 es をつける動詞について、ざっくり教える
「3単現の s」には例外があり、s の代わりに es をつけることがありますよね。こういう例外については、ざっくり教えるのがコツです。
細かいルールには触れない
勉強が苦手な子に教えるときには、下のような細かいルールには触れません。
- 動詞が s, x, sh, ch, 〈子音字+o〉で終わる場合、es をつける
- 動詞が〈子音字+y〉で終わる場合、最後の y を i に変えて es をつける
- have の場合、不規則に変化しhasとなる
細かいことまで教えると、子どもが情報を整理しきれません。その結果、「何も記憶に残らない」ということもあり得ます。
例外はざっくり教える
ですので、下のようにざっくり教えるのがオススメです。
- s の代わりに es をつける動詞がある。(例)go, do, watch, teach, wash
- 最後の y を i に変えて es をつける動詞がある。(例)study, try, cry(play の場合は、そのままsをつけて plays となる。)
- have は has になる。
es をつける動詞については、代表的なものをいくつか覚えさせるだけで大丈夫です。es をつける動詞は、中学英語ではそれほど多くは出てきませんので。
「es をつける動詞」の定番といえば、go、do、watch、teach、wash。まずはこの5つを覚えれば、練習問題などを解くこともできます。
「y を i に変えて es をつける動詞」については、ひとまず study、try、cry の3つを覚えておけば大丈夫。よく出てくるのはこの3つです。
なお、子どもたちは、play の場合も、y を i に変えて es をつけてしまうことがあります。ですので、「play の場合は s をつけるだけだよ」という注意点を添えるのがオススメです。
教え方を少しシンプルにすれば、「3単現の s」もそれほど難しい文法ではなくなります。ぜひお試しください。
「3単現の s」に関連した「よくある間違い」については、下の記事でご紹介しています。どうぞご覧ください。
【3単現のS】中学生によくある間違い5つ。教えるときの注意点は?