受け身の文でby~を省略するケースは?【中学生への教え方】

受け身。byの省略

ふつうの文(能動態)を受け身の文(受動態)に書き換えるとき、〈by~〉を省略するか、しないか? どんな場合に省略するのか?

それが判断できずに書き換え問題でつまずく子は、結構いるのではないでしょうか。

判断できないのには原因があるはずです。その原因とは何か? どう教えれば判断しやすくなるか? この記事で詳しくお伝えしますね。

注意

※この記事では、能動態から受動態への書き換え方を子どもが知っている、という前提で話を進めていきます。

もしお子さんが書き換え方を知らない場合は、「受け身への書き換え。勉強が苦手な中学生への教え方は?」を参考にして、教えてあげてください。

省略するべきか判断できない原因は?

〈by~〉を省略するかどうか判断できないのは、なぜか? その原因は2つ考えられます。

  1. 「一般の人々」「ばくぜんとした人々」の意味がわからない
  2. 省略するべき理由がわからない

では1~2について詳しく見ていきましょう。

「どんな場合に〈by~〉を省略するのか」については、次のように説明されることがよくあります。

よくある説明

動作をする人が「一般の人々」「ばくぜんとした人々」の場合、〈by~〉を省略する。

多くの子どもたちにとって、「一般の人々」「ばくぜんとした人々」という説明は理解しづらいのではないでしょうか。どんな人々なのか、ぱっとイメージできないからです。

しかも「なぜ省略するべきなのか」も伝わってきません。省略する根本的な理由がわからなければ、〈by~〉を書いてしまっても無理はありません。「〈by~〉を書いても別にヘンじゃないから、書いておこう」と思いたくなりますからね。

省略するケースの教え方

上で取り上げた「一般の人々」「ばくぜんとした人々」とは、人称代名詞の we・you・theyと、people を指しています。まずは、その中でも特に説明が必要な we・you・they について、子どもに解説しましょう。

そのあと、〈by~〉の省略について教えてあげてください。

1. we・you・they について解説する

we・you・they には「私たち・あなたたち・彼ら」以外の意味もある、ということを子どもに教えます。

「一般の人々」「ばくぜんとした人々」という表現を使わずに説明するのがコツです。


〈教え方の例〉

we は「私たち」、you は「あなたたち」、they は「彼ら」という意味だったね。

そのほかに、we・you・they には people「人々」の意味もあるよ。

● we について

We speak Japanese in Japan.
(日本では日本語を話す。)

この we は「私とユミとケン」など、ピンポイントで誰かを指しているわけではないよ。この we はpeople「人々」をざっくりと指しているんだ。

どんな人々かというと「日本にいる人々」。文末に〈in Japan〉とあるので、「日本にいる人々」のことだと読み取れる。

● you について

You eat a lot of rice in Japan.
(日本ではお米をたくさん食べる。)

この you は、目の前の人をピンポイントで指して「あなた・あなたたち」と言っているわけではないよ。

この you も people「人々」をざっくりと指しているんだ。〈in Japan〉とあるので、「日本にいる人々」のことだと読み取れる。

● they について

They sell fresh vegetables at that store.
(あの店では新鮮な野菜を売っている。)

この they は、「田中さんと鈴木さん」など、誰かをピンポイントで指しているのではないよ。

この they にも people「人々」という意味がある。どんな人々かというと「店の人たち」。〈at that store〉とあるので、they は「店の人たち」のことだとわかる。

具体的に「田中さんと鈴木さん」を思い浮かべているわけではなく、「店の人たち」とざっくり言っているだけだよ。


上のように「一般の人々」「ばくぜんとした人々」という表現を使わずに説明すれば、子どもも理解しやすくなるでしょう。

まとめ

子どもに説明したいポイント

● we・you・they を people「人々」の意味で使うことがある。

● その場合、we・you・they はピンポイントで誰かを指しているわけではない(具体的に誰かを思い浮かべながら、we・you・they と言っているわけではない)。「日本にいる人々」「店の人たち」など、人々をざっくりと指している

【注意】we・you・they は日本語に訳さない

we・you・they という主語が people の意味を持つ場合、基本的に日本語には訳しません。そのことも子どもに説明してあげてください。

子どもに伝えたいポイントは次の2つです。

(1)
we・you・they を people「人々」の意味で使う場合、基本的に日本語には訳さない。訳すと不自然になってしまう。

(例) We speak Japanese in Japan.
「日本では、日本にいる人々は日本語を話す。」

→この文の主語は「日本にいる人々は」だが、書かなくても意味は通じる。わかりきった主語をわざわざ書くと、不自然に聞こえる

(2)
一方、英文の場合は必ず主語が必要なので、we・you・they を書く。(わかりきった主語であっても書く。主語は省略できない。)

2.〈by~〉の省略について教える

書き換え問題で〈by~〉を省略するケースについて、子どもに説明します。

省略するべき理由も教えるのがコツです。その教え方を詳しく見ていきましょう。


〈教え方の例〉

we・you・they に people の意味がある場合、受け身の文では〈by~〉を省略するよ。

(例1)
We speak Japanese in Japan.
→ Japanese is spoken in Japan.

もし〈by us〉を書いてしまうと、不自然な文になってしまう。

Japanese is spoken by us in Japan. →不自然
(日本では、日本にいる人々によって日本語が話される。)

〈by us〉「日本にいる人々によって」は、わかりきったことだから、わざわざ書くと不自然に聞こえる。わかりきったことは書かないようにしよう。

(例2)
You eat a lot of rice in Japan.
→ A lot of rice is eaten in Japan.

〈by you〉「日本にいる人々によって」は、わかりきったことなので書かない

(例3)
They sell fresh vegetables at that store.
→ Fresh vegetables are sold at that store.

〈by them〉「店の人たちによって」は、わかりきったことなので書かない。


書き換え問題で〈by~〉を省略する理由は、「わかりきったことを書くと不自然になるから」です。それを説明してあげるのが大事です。

子どもは根本的な理由がわからないと、書き換え問題でつまずくかもしれません。「別に省略しなくても意味は通じる」と思ってしまいますからね。

〈by people〉

なお、〈by us〉〈by you〉〈by them〉のほかに、〈by people〉も省略することがあります。それについて、下の説明も付け加えてください。

People speak English in New Zealand.
→ English is spoken in New Zealand.

〈by people〉「人々によって」は、わかりきったことなので書かない。

注意点

主語が we・you・they の文を受け身の文に書き換えるからと言って、「必ず〈by~〉を省略する」というわけではありません。

省略するのは、we・you・they が people「人々」の意味で使われているケースです。そうでない場合は省略しません。

では、people の意味で使われているかどうかを、どうやって判断するのか?

何か文章を読んでいる場合であれば、話の流れから判断します。逆に言うと、we・you・they の文を単独で見ても、判断できないケースはたくさんあるのです。

にもかかわらず、困ったことに書き換え問題では、we・you・they の文が単独でよく出てきます。(〈by~〉を省く練習をさせるためですね。)

そこで、現実的な対策として下の2つをオススメします。

対策

(1) 書き換え問題で出る we・you・they は「people の意味で使われている可能性が高い」と思っておく。

(2) 書き換え問題でよく出てくるパターンに慣れておく。

書き換え問題でよく出るパターン

書き換え問題で〈by~〉を省略するケースには、いくつかパターンがあります。よく出てくるパターンに慣れておけば、書き換え問題を解きやすくなるでしょう。

よく出てくるパターンのうち、基本的なものを5つご紹介しますね。

(1) 言語を話す
〈They speak 〇〇〉〈We speak 〇〇〉といったパターンです。

They speak English in New Zealand.
→ English is spoken in New Zealand.

We speak Japanese in our country.
→ Japanese is spoken in our country.

(2) 物を売る
〈They sell 〇〇〉といったパターンです。

They sell fresh vegetables at that store.
→ Fresh vegetables are sold at that store.

(3) 門・ドア・店を開ける/閉める
〈They open 〇〇〉〈They close 〇〇〉といったパターンです。

They open the gate at ten every day.
→ The gate is opened at ten every day.

They close the store at six.
→ The store is closed at six.

(4) ~を〇〇と呼ぶ
〈you call ~ 〇〇〉〈we call ~ 〇〇〉〈they call ~ 〇〇〉といったパターンです。

We call this flower himawari in Japanese.
→ This flower is called himawari in Japanese.

(5) ~が見える
〈you can see ~〉〈we can see ~〉といったパターンです。

You can see many stars from here.
→ Many stars can be seen from here.


今回取り上げた文法の中で、子どもたちにとって特に難しいのは、「we・you・they には people の意味もある」という点でしょう。

「people の意味もある」ということに慣れるには、問題をいくつも解くことが必要です。

上でご紹介したような書き換え問題にチャレンジさせてみてください。

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