「英語が苦手な子に、比較の単元をどう教えればいいの?」
「教えることが多すぎて、子どもがついてこられない……」
そうお悩みの塾講師・家庭教師・保護者の方に、比較を教えるときのコツを3つご紹介します。
コツと言っても難しいことはナシ。どれもちょっとした工夫なのですが、英語が苦手な子も学びやすくなると思います。
いきなり走り出さない!まずは準備運動から
比較級や最上級の作り方に入る前に、よく使われる形容詞・副詞を準備運動としておさらいしておきます。
というのも、「そもそも形容詞・副詞を覚えていない」という子もいるからです。
もし復習せずに、いきなり比較級・最上級の作り方を教えたら、子どもに負荷がかかりすぎるでしょう。
「形容詞・副詞を覚えながら、同時に比較級・最上級の作り方も学ぶ」なんて、やることが多すぎますからね。
とういわけで、比較の単元でよく出てくる形容詞・副詞の復習をおすすめします。
よく出てくる形容詞・副詞
tall, high, fast, old, long, small, hard, nice, large
上に挙げたのは、どれも、er(または r)や est(または st)をつけるだけで比較級・最上級になる単語です。
ひとまず、こういう簡単な単語の「意味」と「発音」を復習してみてください。
このひと手間が、ものを言います。
単語を自力で読めるようにしておけば、比較級・最上級の発音を、子ども自身が推測しやすくなりますよ。(授業も進めやすくなります!)
基本以外は、あと回し
比較級・最上級の作り方は、ルールがてんこ盛りです。
ルールがどっさり!
- er(または r)/ est(または st)をつける
- y を i に変えてから er/est をつける
- 子音字を重ねてから er/est をつける
- more/most を置く
- 不規則変化
これらを一気に全部教えると、子どもによっては情報を整理しきれません。
そこで、まずは「er(または r)/ est(または st)をつける」という基本ルールにフォーカスするのがおすすめです。
基本ルール以外は、あと回し。基本ルールを使った文に慣れるのが先です。
そのほうが、「比較級・最上級の文とはどういうものか」というイメージを子どもたちがつかみやすくなりますよ。
最初からいろんなルールを気にすると、文全体の構造に意識が向きにくくなりますからね。

●基本ルール以外は“ざっくり”教える
基本ルールを使った文に慣れたら、ほかのルールも教えます。そのときのポイントは、ずばり「ざっくり教える」。厳密なルールは削ぎ落とすのです。
(例)
【厳密なルール】
〈短母音+子音字〉で終わる単語は、最後の子音字を重ねてから er/est をつける。(例 bigger, hottest)
↓
【ざっくりルール】
big と hot は、最後の文字をもう1回書いてから、er/est をつける。
厳密なルールには文法用語がバンバン出てくるので、必要以上に難しく聞こえてしまいます。「こんなの自分にはムリ」と思ってしまう子もいるかもしれません。
でも、それはもったいない! 実際には、たとえば big が bigger になる、というだけの話なのに……。
そこで登場するのが、“ざっくりルール”です。
シンプルなルールなら覚えやすいので、比較級・最上級のハードルも下がります。比較の単元を学びやすくなるでしょう。

“ざっくりルール”を4つ、下に挙げます。よかったら参考にしてみてください。
ルール1*****
次の語は、y を i に変えてから er/est をつける。
early, busy, easy, happy, heavy
(例) earlier, earliest
※「y で終わる単語は、すべてこのようにする」というわけではない。
*********
“厳密なルール”は、「〈子音字+y〉で終わる語は、y を i に変えてから er/est をつける」です。
このパターンでよく出てくる語は、early, busy, easy, happy, heavy です。ひとまず、この5つを覚えておけば大丈夫。問題集にも取り組めます。
ルール2*****
big と hot は、最後の文字をもう1回書いてから er/est をつける。
(例) bigger, biggest
*********
“厳密なルール”は、「〈短母音+子音字〉で終わる単語は、最後の子音字を重ねてから er/est をつける」です。
このパターンの常連さんは、big と hot。この2つ以外は、問題集ではほぼ目にしません。(もし問題集や教科書に sad も載っていれば、それも教えてあげてください。)
ルール3*****
次のような長い語の前には more/most をつける(er/est はつけない)。
interesting, exciting, difficult, beautiful, popular, famous, useful, slowly
(例) more slowly, most slowly
*********
このパターンでは、上の8つの語がよく出てきます。
〈注意1〉
問題集を解くときに少しやっかいなのが、famous, useful, slowly です。長いような短いような、中途半端な(?)長さなので、more/most をつけるべきか、迷う子もいます。
ですので、「famous, useful, slowly は more/most だよ」と何度かリマインドする必要があります。
〈注意2〉
slowly は y で終わりますが、「y を i に変えてから er/est をつける」パターンではありません。その点を補足してください。
ルール4*****
次の語は、まったく別の形になる。
good – better – best
well – better – best
*********
不規則変化をする語の中で、特によく出てくるのが good と well。この2つを優先して教えるのがいいと思います。
もし子どもに余裕があれば、ほかの語(bad, many, much, little)も教えてみてください。
be動詞の文で土台作り
比較級・最上級の作り方は覚えたし、穴埋め問題も解ける。でも、英作文問題でつまずいてしまう——。そういう子に英作文(比較級・最上級)の方法を教えるときには、「① be動詞を使う文 ② 一般動詞を使う文」の順で進めるのがおすすめです。
●なぜ be動詞の文が先?
be動詞の文を先に教えるのは、文の構造がシンプルだからです。日本語訳も見た目がシンプルです。
(例) 私は弟よりも忙しいです。
「誰々は、~よりも〇〇だ」というパターンにのっとった、シンプルな形ですよね。
そのため、「何についての比較なのか」が見えやすいのです(上の例文で言えば「忙しさ」ですね)。

そして、「何についての比較なのか」がわかれば、「どの語を比較級・最上級にすればいいのか」を判断できます。
一方、一般動詞を使う文の場合、日本語訳も見た目がゴチャゴチャしています。
(例)
・私は弟よりも早く学校へ行きます。
・父は家族の中でいちばんじょうずに英語を話します。
「何についての比較なのか」が見えづらいですよね。
「早く」「じょうずに」といった副詞について比較していますが、その副詞がほかの語の中に埋もれてしまって目立ちません。

「何についての比較なのか」がわからなければ、比較級・最上級の文を作るのは大変です。
しかも early や well といった副詞の位置を知らないと、正しい英文は作れません。
このように、比較の単元では、一般動詞を使った文はハードルが高いのです。
そこで、まずは be動詞の文にフォーカスしてみてください。そして、「何についての比較か」を意識しながら文を書けるようになったら、一般動詞の文へ進みます。
be動詞の文で土台を作ったあと、一般動詞の文へ進む、というわけです。
一度に両方教えたときよりも、子どもたちが学びやすくなると思います。
※「① be動詞の文 ② 一般動詞の文」の順で教える具体的な方法は、下の記事でご紹介しています。
おまけ:「だから何?」感の強い例文は避ける
比較の文法を教えるとき、まず「今日はどんな文を作るのか」について説明しますよね。そのときのポイントはこちらです。
「だから何?」と思いたくなる例文は避ける。
たとえば、下のような文です。
「このペンは、あのペンよりも長いです」
→だから何? 長いからどうした?

「富士山は日本でいちばん高い山です」
→だから何? 言われなくても知ってるけど……
上のような例文を見せ、「今日はこういう文の作り方を覚えよう」と言っても、子どもはピンとこないかもしれません。
なぜか? それは「一体どんな状況で、こういう文を使うのか」がわからないからです。
日常生活で「このペンはあのペンより長い」「富士山は日本でいちばん高い山です」などと言う機会は、あまりないですよね。
なので、そういう例文は自分に引き寄せて考えにくいのです。「自分が実際にその文を使う場面」をイメージできない、というわけですね。
そして、使う場面をイメージできなければ、文法を学ぼうという気も起こりにくいでしょう。「こんなの覚えてどうするの?」と思いたくなりますからね。
というわけで、「今日はどんな文を作るのか」を説明する段階では、「だから何?」感の強くない例文がおすすめです。
※演習の段階になったら、「だから何?」感のある文も役立ちます。無味乾燥な文はシンプルであるがゆえに、「文の構造が見えやすい」というメリットがあるからです。
たとえば比較級を教える場合、「どんな文を作るのか」について次のように説明してみてはいかがでしょうか。
〈説明の例〉
ふだんの生活で、何かと何かを比べることって、よくあるよね。
「この動画は、あっちの動画よりもかっこいい!」

「私はお母さんよりも背が高いんだ」

「彼は大谷翔平よりも足が速いんだよ」

こんなふうに、「~よりもかっこいい」「~よりも背が高い」などと比べるときの表現を勉強しよう。
上に挙げたような例文であれば、子どもたちも、ある程度自分に引き寄せて考えられるのでは、と思います(「だから何?」感がゼロ、とまではいかなくても……)。
まとめ
英語が苦手な中学生に比較をどう教えるか?そのコツを3つお伝えしました。
→よく使われる形容詞・副詞を復習しておく(このひと手間が、ものを言う)。
→最初は、er(または r)や est(または st)をつける、という基本ルールにフォーカスする。また、基本ルール以外は、ざっくり教える。
→be動詞の文で基礎を固めたあと、一般動詞に文に進む(比較の単元では、一般動詞を使った文はハードルが高い)。
→子どもが自分に引き寄せて考えられるような例文がおすすめ。
「これは使えそう」と思ったことがあれば、ぜひ実践してみてください。
