勉強が苦手な子に「感情の原因」を表す不定詞を教えるには、どうすればいいのか? 今回は、その方法をご紹介します。
※「目的」を表す不定詞については、下の記事をご覧ください。
不定詞の副詞的用法|勉強が苦手な子がつまずく原因と対策は?
「感情の原因」の不定詞を教えるときのポイントは2つ。「シンプル」と「細分化」です。
「シンプル」とは?
ここで言う「シンプル」とは、「抽象的な表現は使わず、平たく説明する」という意味です。
勉強が苦手な子は、次のような抽象的な説明を理解するのが得意ではありません。
「感情の原因を表すには不定詞を使うことができる。感情を表す形容詞の後ろに不定詞を置き……」
こういう説明は、(大人にとっても)なんだか難しく聞こえませんか? 子どもたちにも、「難しそう」という印象を与えかねません。
それを避けるには、抽象的な表現は使わず、具体的に平たく説明するのがポイントです。
「細分化」とは?
2つ目のポイントは、「細分化」。
ここで言う「細分化」とは、「覚えるべきことを、いくつかのステップに分けて教える」という意味です。
勉強が苦手な子は、いっぺんに多くの情報を処理するのが得意ではありません。
ですので、教えるときには情報を小出しにする。これが大事です。不定詞の使い方に、少しずつ、少しずつ慣れさせていくのです。
そうすると、勉強が苦手な子も、「いつのまにか不定詞の文を作れるようになっていた」となりますよ。
では、「シンプル」と「細分化」というポイントを踏まえながら、どのように不定詞を教えればいいのか?
「感情の原因」を表す不定詞の教え方
具体的には、次の4つのステップに分けて教えます。
- ステップ1 「どんなことを言えるようになるのか」を説明する
- ステップ2 感情を表す単語に慣れさせる
- ステップ3 不定詞のカタマリに慣れさせる
- ステップ4 「私は~して〇〇だ」という文を作らせる
ステップ1 どんなことを言えるようになるのか」を説明する
今回学習すれば、どんなことを言えるようになるのか? それを子どもに伝えます。
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「~して驚いた」「~できてうれしい」と言うための方法を覚えよう。これを覚えると、「何かをして(何かができて)どう感じたか」を表現できるよ。
(例)私はあなたに会えてうれしいです。
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この時点では、「不定詞を使う」という説明はまだしません。「どんなことを言えるようになるのか」ということだけにフォーカスするのです。
情報は小出しにする。これが大事です。
ステップ2 感情を表す単語に慣れさせる
勉強が苦手な子は、「感情」を表す英単語(sorry, surprised など)をあまり覚えていません。
ですので、「感情の原因」の話に行く前に、まずは「感情」そのものを表す単語を復習します。
この復習はとても重要! 復習せずに、いきなり〈I am surprised to hear the news.〉 といった文を目にしたら、子どもは混乱するでしょう。
「感情」を表す単語を覚えながら、同時に、「感情の原因」を表す方法も学ばないとならないからです。
それだと負荷が大きすぎるので、まずは「感情」を表す単語を教えて、それに慣れさせます。
教科書や問題集によく出てくる単語は、次の6つです。
happy うれしい / sad 悲しい / sorry 残念だ / excited ワクワクした / surprised 驚いた / glad うれしい
これらの意味を覚え、自力で読めるようにしておけば、あとで英作文の問題に取り組みやすくなりますよ。
ステップ3 不定詞のカタマリに慣れさせる
ここまで来たら、次のように「感情の原因」の話に入ります。
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「うれしい」「驚いた」と言っただけでは、「なぜそう感じたのか」が分からないよね。そこで、その原因を付け加えてみよう。
(例)
あなたに会えてうれしいです。
それを聞いて驚いている。
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ここまで説明したら、いよいよ不定詞の使い方を教えます。
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「~して」「~できて」という部分は、不定詞を使って表現しよう。不定詞というのは、〈to + 動詞の原形〉だよ。
(例)あなたに会えて
to see you
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このような「~して」「~できて」という表現には、下のようにお決まりのパターンがあります。こういうのを教えておけば、練習問題を解くときに、子どもが戸惑わずにすみますよ。
あなたに会えて
to meet you
その知らせを聞いて
to hear the news
それを知って
to learn that
それを知って
to know that
これを手に入れて
to get this
ステップ4 「私は~して〇〇だ」という文を作らせる
最後に、「私は~して〇〇だ」という文の作り方を子どもに教えます。
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「私はあなたに会えてうれしいです」という文を作ろう。
英語では、「私はうれしいです」という感情を最初にバ~ンと言うよ。〈I am happy〉だね。
そのあと、「なんでうれしいのか」という理由・原因を付け足そう。〈I am happy to see you.〉 となるよ。
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文のパターンに慣れさせるために、「私は~して〇〇だ」という文をいくつか作らせます。主語を〈I〉に限定して文を作らせるのです。
最初から we だの she だのを出すと、文のパターンが見えづらくなりますからね。
〈I〉を主語にした文に慣れたら、we や she を主語にした文を作らせてみてください。
勉強が苦手な子に、「感情の原因」を表す不定詞をどう教えるか? 今回は、その方法をご紹介しました。
「感情を表す単語に慣れさせる」→「不定詞のカタマリに慣れさせる」→「文を作らせる」というステップを踏むのがポイントです。情報は小出しにする。これがとても大事だと思います。