テストのあと、点数にとらわれて見落としがちな大事なこと

テストのあと見落としがちなこと コラム

保護者や家庭教師・塾講師にとって、テストの点数は気になるものですよね。

でも点数だけにとらわれると、大事なことを見落としてしまいます。それは何かというと「子どもが何をどこまで理解しているか」です。

90点であれ15点であれ、点数からは「中身がどうたったか」を判断できません。つまり、「子どもが何を理解していて、何を理解していないのか」が見えてこないのです。

たとえば90点のうち10点は“まぐれ”で得点した、ということもあり得ます。また15点であっても、きちんと考えて解けた問題もあるでしょう。

このように点数だけを見ても中身はわからないのです。そして中身がわからないと、問題点の改善のしようもなく、子どもの成長を後押しできません。

逆に言うと、中身に注目すれば、子どもの成長を後押しできるかもしれないのです。

であるならば、ここで考えたいのは、「中身を見たあと、子どもに何をどう伝えるか」です。

結論から先に言うと、伝えるべきなのは「良かったところ」と「今後の課題」です。それについてこの記事で詳しく解説していきます。

具体的には、下のトピックについてお話しますね。

  • 「良かったところ」とは?
  • 良かったところを伝えるべき4つの理由
  • 今後の課題について話すときのポイント

「良かったところ」とは?

「良かったところ」というのは、必ずしも「正解したところ」という意味ではありません。たとえば次のような点です。

■以前はよく間違えていたが、解けるようになった箇所。

■結果的に正解ではなかったが、部分的には合っていた箇所(あるいは、基本的な考え方は合っていた箇所)。

■難しくてもチャレンジして取り組んだ箇所。

勉強が苦手な子に教えている場合、「良かったところなんて、あるかな」と思うかもしれません。でも、よく探せばきっとあります。何かちょっとしたことでいいのです。

たとえば英語の場合、こんな感じです。

■文頭をきちんと大文字で書いた。

■文字が読みやすくなった。

■単語のスペルは間違ったが、どんな単語を書くべきかは知っていた。(例)read を ried と書いてしまったが、「読む」が「リード」であることは知っていた。

■3単現の s を付け忘れたが、主語の後ろにちゃんと動詞を置いたのは良かった。

■英作文にチャレンジした。知っている単語を使って、文をどうにか書こうとした。

「以前はどうだったか」を思い出し、その頃と比べれば、「そういえば〇〇ができるようになった」などと気づきやすくなるのではないでしょうか。

良かったところを伝えるべき4つの理由

テストのあと、子どもに伝えるのは「今後の課題」だけではダメなのか? そう思われるかもしれません。

でも、良かったところを伝えるのには、それなりの理由があるのです。たとえば、下の4つです。

【理由1】子どもが自分の成長に気づける

良かったところを伝えることは、子どもが自分自身の成長にきづくきっかけとなります。

子どもは「〇〇ができるようになったね」などと言われないと、自分の成長に気づきにくいものです。自分を客観的に分析するのは難しいですからね。

でも、良かったところを褒めてもらえると、「言われてみれば、前よりできるようになったかも」と気づけるでしょう。

自分の成長に気づくことは、とても大事です。これまでやってきたことの手応えを得ることができ、自信もつきますからね。

【理由2】安心感を得られる

良かったところを褒めると、子どもは「自分のことをちゃんと見ていてくれる」「認めてくれている」という安心感を得られます。

そして、安心感があれば「もっと頑張ろう」という気にもなれますし、勉強がきついときにも踏ん張りやすくなるでしょう。

大人でも同じですよね。仕事でちょっとしたことを褒められると、「へえ、(意外と?)見てくれているんだなぁ」とうれしくなりませんか? それに、自分を認めてもらえれば、やる気もアップするものです。

子どもも、「見ていてくれる・認めてくれている」という安心感があれば、「もっとやってみよう」という気になるはずです。

【理由3】自分の解き方が合っていることを確認できる

結果的に不正解でも、途中までの解き方は合っている。そんな場合、「基本的な考え方は合っているよ」などと伝えれば、子どもは「この考え方でよかったんだ」と確認することができます。

また、正解した問題であっても、答えに自信があったとはかぎりません。そんなとき、「こんなふうに解いたのは良かった」と言われれば、「この解き方で大丈夫だったんだ」と確認できます。

【理由4】間違いを恐れずにチャレンジできる

「部分的には、ちゃんとできているよ」「ややこしい問題だったけど、よく取り組んだね」

そんなふうに良かったところを伝えれば、子どもが難しい問題にチャレンジしやすくなります。たとえ正解しなくても、問題に取り組んだこと自体を認めてもらえるからです。

結果的に間違っていたとしても、怒られない。取り組んだ姿勢を認めてもらえる。そういう状況を大人が作ってあれば、子どもは間違いを恐れずに、難しい課題にチャレンジできるでしょう。

今後の課題について話すときのポイント

テストのあとは、今後の課題についても子どもと話をしてみてください。そのときのポイントは次の3つです。

「良かったところ」を褒めてから「今後の課題」を伝える

「良かったところを褒めたあとで、今後の課題に触れる」という順番がポイントです。

大人でもそうですけど、いきなり問題点を指摘されたり、課題を突きつけられたりすると、へこみますよね。あるいは、「こっちだって頑張ってるのに!」と反発したくなりませんか?

でも、良かったところを褒められたあとだと、あら不思議。問題点の指摘も受け入れやすくなるものです。「言われてみれば、そうかもしれないな」と。

褒められることで「自分を認めてもらえた」と安心できたあとなら、問題点にも向き合いやすくなる、というわけです。

ぜひ、良かったところを褒めたあとで、今後の課題に触れてみてくださいね。

※関連記事「子どもが答えを間違えたとき、大人はどんな言葉をかけるべき?」もぜひご覧ください。

具体的な話をする

今後の課題について話すときには、具体性が欠かせません。

「ちゃんと復習しよう」「単語をもっと覚えよう」

そういう大まかなアドバイスでは、「何をどうすればいいのか」が子どもに伝わりません。もっと具体的な内容が必要です。

たとえば、「ちゃんと復習しよう」という目標を立てたとします。その目標を達成するには、何をどの順番でどうすればいいのか? そのプランを子どもといっしょに考える必要があります。

多くの中学生にとって、自分ひとりでプランを練るのは難しいでしょう。大人にとっても「自分に合った目標を立て、具体的なプランを練る」なんて、簡単ではありませんよね。

子どもと一緒に具体的なプランを練れば、テストで間違ったところを改善できるだけではありません。「“具体的に計画する”とはどういうことか」を子どもが学ぶいい機会にもなります。

「ちょっと頑張ればできそう」と思えるようなプランにする

勉強のプランは、「ちょっと頑張ればできそう」と子どもが思える内容にすることが重要です。

やるべきことが多すぎたり、タスクが難しすぎたりすると、子どもは最初からあきらめてしまうかもしれません。「どうせ、ムリ」と。

それは避けたいですよね。そのためには、「ちょっと頑張ればできそう」と思えるようなプランにするのがオススメです。

ちょっと頑張ればできそうかどうかは、子ども自身に聞くのがいいと思います。中学生であれば自分で考えられるでしょうし、自分で考えて決めるのも勉強のうちですからね。


テストのあと、点数にとらわれて中身を見ないなんて、もったいないです。ぜひ中身にも注目してみてください。