英単語の覚え方を教える方法。勉強が苦手な子が覚えられない理由は?

勉強が苦手な子が英単語を覚えられない理由とは? 中学英語の教え方

勉強が苦手な中学生(特に、定期試験で平均点を下回る子)が、英単語を覚えられないのはなぜか? それには、ちゃんと理由があります。

その理由を踏まえた上で大人がサポートすれば、勉強が苦手な子も少しずつ単語を覚えられるようになりますよ。

それでは、「英単語を覚えられない理由」と「単語の覚え方を教える方法」についてお伝えしますね。

なぜ英単語を覚えられないのか?

英単語を覚えない子に対し、以前の私は「やる気のない子だなぁ」と思っていました。「単語を覚えるかどうかは、やる気次第!」と思っていたのです。

でも、それは間違っていました。「やる気がないから覚えない」とはかぎらないのです。では、なぜ覚えないのか?

その最大の理由は、そもそも単語の覚え方を知らないから。覚え方を知らないことには、覚えようがないのです。

受験勉強を経験してきた大人は、「単語の覚え方くらい、分かるでしょ」と思うかもしれません。

ですが、子どもたちにとって英単語を覚えるというのは、人生初の出来事。やり方が分からなくても不思議ではありません。

ですので、そのやり方を大人が教える必要があるのです。

では、どうやって教えればいいのか? 単語を覚えるにはどうすればいいのか? そのポイントをご紹介しますね。

単語を覚えるためのタスク

「単語を覚える」と一口に言っても、実際にやるべきことはいくつもあります。

  • 読み方を覚える
  • 意味を覚える
  • 書く練習をする

単語を覚えるには、このように複数のタスクをこなす必要があります。

ここで大事なのは、これらの複数のタスクをいっぺんにやらない、ということ。勉強が苦手な子にとって、複数のタスクを同時にやるのは大変なことです。負荷が大きすぎて、単語を覚えるのが苦痛になるかもしれません。

「単語の覚え方」を教える方法

ですので、子どもたちに単語の覚え方を教えるときには、やるべきタスクを小出しにするのがオススメです。具体的には、3つのステップに分けて教えます。

ステップ1: 単語を読むことに慣れさせる

単語をほとんど(あるいは、まったく)読めない子には、まず単語の基本的な読み方を教え、単語を読むことに慣れさせる必要があります。単語を覚えるための、いわばウォーミングアップですね。

このウォーミングアップで目指すのは、子どもに「自分も出来る」という自信を持ってもらうこと。「ちょっと頑張れば読めるようになるかも」という手ごたえを感じられれば、新しい単語にも挑戦しやすくなります。

なので、ちょっと時間はかかりますが、ウォーミングアップは必要です。いきなり猛ダッシュするのはやめておきましょう。

ウォーミングアップの具体的な方法については、下の記事をご覧ください。

英単語の読み方|ほとんど読めない子に読み方を教えるときのコツ

ステップ2: 「読み方」と「意味」を覚えさせる

ウォーミングアップが終わったら、覚えるべき単語をリストにします。とは言っても、単語をずらずらと並べるわけではありません。

単語の数は、まずは3~5個

リストに載せる単語は、最初のうちは3~5個くらいで十分です。

「たったそれだけ?」「そんなペースでやってたら、学校の授業に追いつけない」と思われるかもしれません。

でも、焦りは禁物です。いきなり長い単語リストを見せられたら、子どもは「絶対ムリ」とあきらめてしまうでしょう。

ですが3~5個くらいの単語なら、「もしかしたら、できるかも」という気にもなれます。最初は、そのくらいゆったりとしたペースでやるほうが、子どものやる気も持続しやすいです。

そういうことって、大人でもありますよね。たとえば、筋トレを始めるとき。「スクワット30回やってやるぜ!」と意気込むより、「とりあえず3回」とボソッとつぶやくくらいのほうが続けやすいと思いませんか?

それと同じで、単語も「とりあえず3~5個覚えよう」というノリのほうが、挑戦しやすいし続けやすいです。

というわけで、単語を3~5個選んでリストにしてみてください。

繰り返し練習させる

単語リストには「単語」のほかに、「読み方(カタカナ)」と「意味」も書いておきます。

そして、「なるべく単語だけを見ながら発音し、それに続けて意味を言う」という練習を繰り返させます。

たとえば、come・have・eat というリストだったら、「カム・来る、ハブ・持っている、イートゥ・食べる」というのを何度か繰り返し練習させるのです。

自分でテストさせる

そのあと、どのくらい覚えたか子ども自身でテストしてもらいます。

リストにある「読み方」と「意味」をノートなどで隠し、「単語」だけを見ながら、読み方と意味を言ってみる、というテストです。

そして、この「自分テスト」を体験させたうえで、「ひとりで勉強するときも、今と同じようにして自分でテストしてね」とアドバイスします。

勉強が苦手な子どもたちの中には、「覚えたかどうか、自分でテストしてみる」という経験がない子もいます。そして、その経験がないと、単語を覚えるのはかなり難しいでしょう。

ですので、「自分でテストする」ということを一度体験させる必要があるのです。

ステップ3: 書く練習をさせる

単語の「読み方」と「意味」を言えるようになったら、いよいよ「書く」練習です。

その際、同じ単語を10回も20回も続けて書くのはオススメしません。ただの「書く作業」になってしまうからです。たくさん書いたわりには記憶に残らない、ということになりかねません。

また、「何度も何度も書いていると、そのうち何を書いているのか分からなくなってしまう」という子もいます。

ですので、同じ単語を10回も20回も続けて書くのはやめておいたほうがいいです。

書くときにも「自分テスト」

オススメなのは、「ひとつの単語を3回くらい書いたら、自分でテストしてみる」という方法です。

たとえば come を3回くらい書いて練習したあと、何も見ずに書けるかどうか自分でテストするのです。

そのとき、つづりを間違えても構いません。大事なのは、「つづりを思い出そうとする」という体験です。書いて記憶したこと(インプットしたこと)を、頭の中から取り出す(アウトプットする)、という体験です。

なぜこの体験が大事なのか?

それは、アウトプットを意識しながらインプットできるようにするため、です。つまり、「テストなどで単語を書くとき」のことを意識しながら書く練習をする、というわけです。

こんなふうにアウトプットするときのことを意識しながらインプットすると、記憶に残りやすくなります。

もしアウトプットを意識することなく書く練習をしたら、それは単なる作業で終わるかもしれません。

ですので、「3回くらい書いたら、自分でテスト」という手順で練習するのがオススメです。

もちろん、書く回数は子ども自身で調整するのがいいと思います。覚え方の基本を教わった上で、一番やりやすい方法を子ども自身が見い出していくのが理想的ですね。


今回は、「単語の覚え方を教えるときのコツ」をご紹介しました。

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