受け身への書き換え。勉強が苦手な中学生への教え方は?

受け身への書き換え 中学英語の教え方

能動態から受け身(受動態)への書き換え問題は、勉強が苦手な子にとって、ハードルの高い課題です。

では、書き換えができるようにするには、どう教えればいいのか? その方法をご紹介します。

この記事で扱うのは、基礎的な受け身の文(平叙文の肯定文)への書き換えです。

具体的には、下の3点についてお伝えしますね。

  • 「書き換え可能」であることを教える
  • 穴埋め問題に慣れさせる
  • 文全体の書き換え方を説明する

※お子さんが「受け身とは何か」を知らない場合は、先に「中学英語・受け身の教え方|基礎を教えるための5ステップ」をご覧ください。

「書き換え可能」であることを教える

能動態から受け身への書き換え方を教える前に、「書き換えることができる」ということ自体を教えておく必要があります。

受け身の文を書ける子でも、「能動態と受け身は書き換え可能だ」ということに気づいているとはかぎりません。

もし気づいていない場合、書き換え方のテクニックを教わっても、表面的な理解にとどまるでしょう。自分が何をしているのかが、わかっていませんからね。

なので、まずは「書き換えることができる」と教えることから始めます。

日本語の例文で説明する

子どもが理解しやすいように、まず、日本語の例文を使って説明しましょう。たとえば、こんな感じです。

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「生徒たちがこの部屋をそうじする」という文を、「この部屋は生徒たちによって( )。」と書き換える。

B では、「この部屋は」が主語になっているね。「この部屋は」で文を始める場合、( )には何が入るかな?

部屋の立場からすると、「そうじする」ではなく「そうじされる」となるよ。

A も B も、話の内容としては、ほぼ同じことを言っているね。
このように、「~する」という文は、「~される」という受け身の文に書き換えることができるんだよ。
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英語の例文で説明する

次に、「書き換え可能」であることを、英語の例文を使って子どもに説明します。たとえば、こんな感じです。

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英語でも、「~する」という文を、「~される」という受け身の文に書き換えることができるよ。

"The students clean this room."という文を、"This room (  )(  )(  ) the students."という文に書き換える。

This room「この部屋は」が主語になると、clean「そうじする」を、「そうじされる」に書き換えないといけない。「そうじされる」というのは受け身だから、〈be動詞+過去分詞〉というカタマリを使おう。

「~される」の後ろには、「……によって」というカタマリを置くよ。

"This room is cleaned by the students."という文において、is cleanedが〈be動詞+過去分詞〉、by the studentsが「・・・によって」というカタマリ。

このように、「~する」という文は、「~される」という受け身の文に書き換えることができるんだ。
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「書き換え可能」であることを説明したあとは、穴埋め問題に慣れさせましょう。

穴埋め問題に慣れさせる

穴埋め問題に取り組ませる場合、最初の2~3問は手助けするのがオススメです。子どもの習熟度にもよりますが、最初は手助けがないと少し難しいかもしれません。

手助けの方法

手助けというのは、下の2つです。

  • 問題を出す前に、まず日本語の書き換え問題をさせる
  • 英文の語順を教える

まずは下のように、日本語の書き換え問題でウォーミングアップをさせましょう。「この練習問題で問われているのは、“~される”への書き換えだ」ということを理解しやすくするためです。

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A と B がほぼ同じ意味になるように、( )に適切な語を入れなさい。

A: 多くの人々がこれらの映画を愛している。
B: これらの映画は多くの人々によって( )。
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日本語でのウォーミングアップに続いて、英語の書き換え問題に挑戦させましょう。

そのとき下のように、「~される」「……によって」というヒントを添えます。英語の語順を意識させるためです。

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A と B がほぼ同じ意味になるように、( )に適切な語を入れなさい。

A: Many people love these movies. B: These movies (ア)(イ)(ウ) many people. (ア)(イ)は「~される」、(ウ)は「・・・によって」

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子どもが手助け付きで問題を解けたら、手助け無しの問題にも挑戦させてみてください。

be動詞に慣れさせる

受け身への書き換えでつまずきやすいのが、be動詞の使い分けです。

子どもによっては、「時制と主語に合わせて、be動詞を選ぶ」ということをおさらいする必要があるでしょう。

おさらいの仕方については、「中学英語・受け身の教え方|基礎を教えるための5ステップ: be動詞を正しく選べない場合」を参考にしてください。

おさらいしたあと、下のような問題に取り組ませれば、「時制と主語」を意識しやすくなると思います。

■「主語が複数のときは、is ではなくて are を使う」ということを意識させるための問題

The students use these computers.
These computers ( )( )( ) the students.

■「もとの文が過去形の場合、受け身の文も過去形にする」ということを意識させるための問題

Ken wrote this book.
This book ( )( )( ) Ken.

文全体の書き換え方を説明する

試験では、「能動態の文全体を、受け身の文に書き換える」という問題もよく出されます。

穴埋め問題に慣れさせたあと、文全体の書き換え方を教えましょう。穴埋め問題のあとであれば、勉強が苦手な子も、それほど抵抗なく取り組めると思います。

文全体の書き換え方は、たとえば下のように説明してみてください。

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(例)Many people speak English.

(1) もとの文の中で、「〇〇を」の部分を探す。

Many people speak English.という文で「〇〇を」の部分はEnglish

(2) 「〇〇を」の部分を主語(〇〇は)にして、文を書き始める。

English (〇〇は)

(3) 「〇〇は、~される、……によって」という順で単語を並べる。

「〇〇は」English →「~される」is spoken →「・・・によって」by many people

これで、書き換えが完成しました!

もとの文 Many people speak English. 受け身の文 English is spoken by many people.

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この記事で扱ったのは、ごく基礎的な受け身の文(肯定文)です。問題集には、もっと複雑な書き換え問題も載っていますが、まずは基礎的な問題にチャレンジさせてみてください。

子どもは「解けた!」と手応えを得られれば、英語への抵抗感も少しずつ和らいでいくと思います(「やる気全開!」とまではいかなくても……)。