do (don’t) / does (doesn’t) / did (didn’t) の使い分け方を何度教えても、子どもに理解してもらえない。そんな経験はありませんか?
使い分けられないのには、必ず原因があります。その原因がわかれば、「どのように教えればよいか」が見えてきますよ。
この記事では、下の2つについて詳しくお伝えします。
- do / does / did を使い分けられない原因は?
- 教えるときのポイントは?
do / does / did を使い分けられない原因は?
do / does / did を使い分けられない原因は、3つ考えられます。
原因1. 「何に注目すべきか」がわかっていない
do / does / did を使い分けるためには、文の「時制」と「主語」に注目する必要があります。ですが、そのことになかなか気づけない子もいるのです。
たとえば、下のようなルールを教わったとします。
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現在の文で、主語が3人称単数以外なら、do を使う。
現在の文で、主語が3人称単数なら、does を使う。
過去の文なら、主語が何であれ、did を使う。
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このルールを教わっても、複数の情報をいっぺんに処理できないと、「要するに、時制と主語に注目するのか」と気づくことはできません。
また、下のような表を読み解けない子も、何に注目すべきかがわからないでしょう。
この表では、「主語」と「時制」という2つの情報が提示されています。複数の情報をいっぺんに処理するのが苦手な子は、この表を見ても、do / does / did を使い分けられないでしょう。
原因2. 人称の意味がわからない
人称の意味がわからないために、do / does / did を使い分けられない、という子もいます。
「3人称単数のときは……」などと言われても、そもそも「人称」の意味がわからなければ、使い分けるのは難しいですよね。
原因3. 日本語の文の時制がわからない
日本語を英語に訳すときに、その日本語の文が「現在形なのか、過去形なのか」がわからない子もいます。英文ではなく、日本語の文の時制がわからないのです。その結果、do / does / did を使い分けられない、ということがあります。
たとえば、「私は部屋をそうじしませんでした」を英語に訳すとします。そのとき、「しませんでした」の時制がわからなければ、do / does / did を正しく選べません。
なぜ、日本語の文の時制がわからないのか?
時制がわからないのは、日本語の「動詞の活用」を理解していないからではないか、と私は考えています。
勉強が苦手な子の中には、動詞を否定形や過去形にパッと変えられない子がいます。
たとえば、「“食べます”の過去形は?」「“泳いだ”の否定形は?」などと聞かれたとき、即答できないのです。
子どもたちは、日常会話において、無意識に動詞を活用させることができます。でも、だからといって「動詞を客観的に分析し、活用させることができる」とはかぎりません。
そして、意識的に活用させることができなければ、日本語の文を見たときにも、時制を判断することは難しいでしょう。
さて、ここまで「do / does / did を使い分けられない原因」をご紹介してきました。では、どのように教えれば、勉強が苦手な子でも do / does / did を使い分けられるようになるのでしょうか?
教えるときのポイントは?
do / does / did の使い分け方を教えるときのポイントは、3つあります。
1. 判断する手順をハッキリと示す
使い分けるためには、まず何に注目すべきか? 次に何に注目すべきか? そういう手順をハッキリと示すことが大事です。
たとえば、こんな感じです。
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do / does / did を使い分けるには、まず、「現在か過去か」に注目しよう。
「過去」の話をするときは、did を使うよ。
「現在」の話をするときは、「主語」にも注目しよう。
- 主語が「I・you・複数」なら、do
- 主語が「I・you 以外で単数」なら、does
このように、まずは「現在か過去か」を考える。そして、もし現在なら、「主語」にも注目しよう。
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上のように説明すれば、「どんな順番で何に注目すべきか」が理解しやすくなると思います。
勉強が苦手な子は、複数の情報をいっぺんに処理することがうまくありません。ですので、まずは「時制」にだけ注目させ、そのあと「主語」に注目させてみてください。
2. 「人称」は使わずに教える
「人称」という用語を使わずに教えれば、勉強が苦手な子も、do / does を使い分けやすくなります。
「人称」を使った説明は、次のように言い換えてみてください。
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【人称あり】主語が「3人称単数以外」なら、do
↓
【人称なし】主語が「I・you・複数」なら、do
【人称あり】主語が「3人称単数」なら、does
↓
【人称なし】主語が「I・you 以外で単数」なら、does
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人称の概念は、知っておくに越したことはありません。ですが、人称の概念がわからなくても中学英語を学ぶことはできます。
「人称がわからないために、英文を正しく書けない」なんてことになるのは、もったいないです。
勉強が苦手な子に教えるときには、ぜひ、「人称」を使わずに説明してみてください。
※「3単現の S」のつけ方も、「人称」を使わずに教えることができます。詳しくは、「〈3単現の S〉の教え方。中学生に分かりやすく説明する方法とは?」をご覧ください。
3. 日本語の動詞を活用させてみせる
日本語の文の時制がわからない子に対しては、「動詞を活用させてみせる」というのもひとつの手です。
たとえば、「私は泳ぎませんでした」の時制がわからないとします。その場合、「泳ぎませんでした」の下に「泳ぎません」を書き加え、どちらが過去形かを子どもにたずねるのです。
「泳ぎませんでした」の時制がわからない子でも、比較対象(「泳ぎません」)があれば、時制を判断しやすくなると思います。
この方法は、時制を判断できるようになるための、根本的な解決方法ではありません。ですが少なくとも、「時制について意識的に考える機会」を子どもに与えることはできます。
子どもに考えさせることなく、「“泳ぎませんでした”は過去形だよ」と教えるより、少しでも考えさせたほうがいいです。教えてもらっただけだと、あっと言う間に忘れてしまいますからね。
今回は、「do / does / did を使い分けられない原因」と、「教えるときのポイント」をご紹介しました。
教えるときのポイントは、
- 判断する手順をハッキリと示す
- 「人称」は使わずに教える
- 日本語の動詞を活用させてみせる
……です。どれか使えそうなアイデアがあれば、ぜひ実践してみてくださいね。