勉強が苦手な中学生に、接続詞 when, if, because をどう教えればいいか? そのコツをご紹介します。
「接続詞 when, if, because を使うときに、どうやって文を組み立てればいいのかがわからない」「接続詞のある文をうまく日本語に訳せない」という子に教えるときの参考にしてみてください。
よくある間違いと、その原因
接続詞 when, if, because の単元で、よくある間違いは何か? その原因は何か? まずは、それを見ていきましょう。
よくある間違いは、次の2つです。
よくある間違い 1
英文を日本語に訳すときに、次のように誤った解釈をすることがあります。
I use a dictionary when I study English.
(間違い)私は辞書を使うとき、英語を勉強する。
He went to bed early because he was tired.
(間違い)彼は早く寝たので、疲れていた。
間違いの原因は?
訳し方を間違えるのは、文の構造を意識していないからです。文の構造とは、要するに、「どんなカタマリが組み合わさって、文ができているのか」ということです。
接続詞 when, if, because を使った文は、下のように2つのカタマリからできています。

ですが、このようなカタマリを意識していない子は、文の意味を単語単位で追ってしまいます。
たとえば文頭から順に、I「私は」→ use「使う」→ a dictionary「辞書」→ when「とき」、と意味を追っていくのです。
そして、「……あっ、“私は辞書を使うとき”っていう意味だ」というような、誤った解釈をします。
このように、単語単位で文と向き合ってしまい、意味のカタマリを意識できないと、接続詞は正しく使えません。
よくある間違い 2
英作文をするときに、次のような間違った英文を作ることがあります。
あなたが忙しいなら、私たちが手伝いましょう。
(間違い)You are busy if we will help you.
(間違い)If we will help you, you are busy.
if の後ろに来るべき文は、「あなたが忙しい」なのか? それとも「私たちが手伝いましょう」なのか? それがわかっていない子は、上のように間違えてしまいます。
間違いの原因は?
では、なぜ「接続詞の後ろに来るべき文」がわからないのか? それは、「接続詞の使い方について、抽象的な言葉で説明されることが多いから」だと考えられます。
勉強が苦手な子にとって、次のような抽象度の高い解説を理解するのは、簡単なことではありません。
〈when A〉で、「Aのとき」という意味。
〈When A, B.〉 または 〈B when A.〉で、「Aのとき、B」という意味。
A と B には、それぞれ〈主語+動詞〉で始まる文が入る。
A や B という“記号”そのものには、本来、何か意味があるわけではありません。
そのため子どもによっては、〈When A, B.〉や〈B when A.〉がどんなことを表しているのか、イメージしにくいのです。
また、「どういう場合に、A が B より前に来たり、後ろに来たりするのか」がわからない子もいます。〈When A, B.〉や〈B when A.〉という“公式”を読み解けないのです。
このように抽象度の高い解説を理解できない子は、接続詞の使い方を間違えてしまいます。
接続詞 when の教え方
では、勉強が苦手な子に、接続詞 when, if, because をどう教えればいいのか? 教え方は基本的に3つとも同じです。ここでは、when を例に挙げて説明しますね。
教えるときのポイントは2つあります。
- 「文がどのようなカタマリからできているか」を強調する
- 「それぞれのカタマリに、どんな意味があるのか」を強調する
このポイントを踏まえながら、まずは日本語の例文を使って文の仕組みを教えましょう。
1. 日本語の例文を使って文の仕組みを教える
文を構成するカタマリについて子どもに説明します。
〈教え方の例〉
「……のとき、〇〇する」とか「……のとき、〇〇だ」といった文を作ろう。
(例)私は英語を勉強するとき、 辞書を使う。
この文は、2つのカタマリに分かれているよ。ひとつ目は、〈私は英語を勉強するとき〉。つまり、〈どんなとき〉を表しているカタマリだよ。

もし、このカタマリだけで文が終わったら、中途半端だよね。「で、何なの?」と、話の結末を知りたくなる。そこで、〈話の結末〉を書こう。この結末というのが、ふたつ目のカタマリなんだ。

このように、「……のとき、〇〇する・〇〇だ」という文は、
- 〈どんなとき〉
- 〈話の結末〉
という2つのカタマリからできているよ。

まずは、上のように日本語の例文を使って、文の仕組みを教えます。
勉強が苦手な子にとって、文の仕組みというのは、(大人が思う以上に)複雑なものでしょう。ですので、いきなり英文を使って説明するより、いったん日本語の例文を使って説明したほうが、理解しやすいと思います。
2. 英文の作り方を説明する
文の仕組みを教えたら、次は、英語で文を作っていきます。たとえば、こんな感じで説明してみてください。
〈教え方の例〉
(例)私は英語を勉強するとき、 辞書を使う。
まず〈私は英語を勉強するとき〉というカタマリを英語にしよう。英語の場合、「とき」(when)と言ったあと、「私は英語を勉強する」という文を続けるよ。文は〈主語+動詞〉で書き始めよう。

〈When I study English〉は、〈どんなとき〉を表すカタマリだね。これだけだと中途半端で話が成り立たないから、結末を書こう。結末の文も、〈主語+動詞〉で書き始めるよ。

ここまで教えたら、いったん、「〈どんなとき〉→〈話の結末〉」というカタマリの順で文を作る練習に入りましょう。
「〈話の結末〉→〈どんなとき〉」という順になることもある、という説明は後回しにします。一度にあれもこれも教えると、勉強が苦手な子は「話のキモは何か」がわからなくなるからです。
ですので、練習問題に入り「子どもが説明を理解したかどうか」を確認するのが大事です。
練習問題が終わったら、下の説明を続けてくださいね。
〈教え方の例〉
英語の場合、〈話の結末〉を先に書くこともできるよ。〈話の結末〉が先に来た場合でも、文全体の意味は変わらないんだ。

〈話の結末〉を先に書く場合、文中にコンマはつけないよ。
このような説明なら、抽象度がそれほど高くないため、理解しやすいのではないでしょうか。
説明したあとは、また練習問題に入りましょう。習ったこと(=インプットしたこと)を身につけるには、実際に文を作ってみる(=アウトプットする)のが一番です。
接続詞 if と because の教え方
if や because を教えるときのポイントも、when のときと同じです。
- 「文がどのようなカタマリからできているか」を強調する
- 「それぞれのカタマリに、どんな意味があるのか」を強調する
このセクションでは、「if や because を使った文が、どんなカタマリからできているか」にフォーカスしてお話しますね。教えるときの手順については、上にある when のセクションを参考にしてください。
if の場合
「もし……なら、〇〇する・〇〇だ」という文を構成するカタマリは、〈もし……なら〉と〈話の結末〉です。

このような日本語の例文を使って文の仕組みを教えたあと、英文の作り方について説明してください。英語の場合、文の仕組みは次のようになります。

because の場合
「……なので、〇〇する・〇〇だ」という文を構成するカタマリは、〈……なので〉と〈話の結末〉です。

英語の場合、次のようになります。

このように、「文がどんなカタマリからできているか」をはっきり示せば、勉強が苦手な子も接続詞を理解しやすくなると思います。
まとめ
接続詞 when, if, because を教えるときに説明したいポイントは次の2つです。
- 文がどのようなカタマリからできているか?
- それぞれのカタマリに、どんな意味があるのか?
カタマリについて教えるときは、まず日本語の例文を使って説明するのがオススメです。
少し時間はかかりますけど、日本語で文の構造を把握できれば、英文の構造も理解しやすくなるでしょう。
よかったら、実践してみてくださいね。
オススメの問題集3選
書店やネットで英語の基礎問題集を選ぼうとしたけど、たくさんありすぎて、結局どれがいいのかわからなかった……という経験はありませんか?
そこで、「これは使いやすい」と私が思った基礎問題集を3種類ご紹介します。どれも一長一短ではありますが、英語の基礎を学びやすい作りになっています。
よかったら参考にしてみてください。
(1)「ひとつずつ すこしずつ ホントにわかる」(英語)学年別シリーズ(新興出版社)
文法の解説がスッキリまとまっており、要点がパッとわかります。
また、単元によっては練習問題の前に、例題と解答が載っています。これはポイントが高いと思います。文法問題に慣れていない子も「こんなふうに解けばいいんだな」というのがわかりますからね。
さらに並べかえ問題には、パズル感覚で取り組めるような工夫が施されています。
今回ご紹介する3種類の中では、勉強が苦手な子にとって、最も取り組みやすい練習問題だと思います。
(2)「ひとつひとつわかりやすく。改訂版」(英語)学年別シリーズ(Gakken)
文法の解説がとにかくわかりやすいです。「文法の教え方がわからない」という保護者や家庭教師の方が、この解説を参考にしながら教える、というのもオススメです。
イラストが豊富なので、「文字だけで説明されるより、イラストもあったほうが理解しやすい」というお子さんに向いています。
(3)「英文法 パターンドリル」学年別シリーズ(文英堂)
知識を定着させるためのドリルです(文法の解説は最小限に抑えられています)。
各単元で、重要構文が何度も繰り返し出てきます。これぞ、まさに「ドリル」。徹底的に反復練習をしたい、というお子さんにオススメです。
「この単元のキモは何か?」を意識しやすい作りになっています。
「それぞれの問題集の良い点・注意点をくわしく知りたい」という方は、下の記事をチェックしてみてください。
【徹底比較】英語が苦手な中学生向け基礎問題集3選。使いやすさを比べてみた
最後までお読みいただき、ありがとうございました。