そんな経験、ありませんか? 「どうすればいいのだろう」と頭を悩ませますよね。
なぜ、子どもたちは直前の説明を踏まえずに問題を解いてしまうのか?
私も最初は不思議だったのですが、試行錯誤しながら少しずつわかるようになりました。「説明を踏まえないのには、それなりの原因があったんだ」と。
この記事では、その原因を4つ取り上げ、すぐに実践できる対策をご紹介します。
私の個人的な経験がベースとなっていますが、何かヒントになることがあれば嬉しいです。
原因1. 頭の中で情報がごちゃごちゃ
英文法を教えるとき、一度にドドーッと説明した経験はありませんか? (私はあります!)
「あれもこれも教えてあげたい」と意気込むと、つい説明が長くなるものですよね。
けれども、一度にドドーッと説明されると、子どもによっては情報をうまく整理できません。すると話のポイントを見失ってしまい、「何を踏まえて問題を解けばいいのか」が見えづらくなるのです。
また、説明が長すぎると、冒頭の内容を忘れてしまうこともあります。
教える側の大人は、「切りの良いところまで一気に説明したい」と思ったりしますよね。また、体系的に説明したい場合、情報を詰め込んでしまいがちです。
でも一度にたくさん説明すると、子どもにとっては混乱のもとになりかねません。
対策はコレ
まず、「1回の授業で説明すべきこと」を小分けにします。

そして、それぞれの説明のあと、すぐ演習に入ります。「簡潔な説明」→「演習」→「簡潔な説明」→「演習」……という流れで授業を進めるのです。

上のように「小分け作戦」で授業を進めれば、子どもたちも問題を解くときに直前の説明を踏まえやすくなります。
どのくらい小分けにすればいいの?
説明や演習をいくつのパーツに分けるか? 私の経験から言うと、最初は「小分けにしすぎたかな?」と思うくらいにしておくのがおすすめです。
大人が「わざわざ小分けにする必要はないだろう」と思うような内容であっても、子どもは意外と苦戦することがあるからです。
そして苦戦すると、「難しい」「自分にはムリ」とあきらめてしまうこともあります。
ですので、最初のうちは説明や演習を小さなパーツに分け、様子を見ながらパーツの大きさを調整してみてください。
※「小分け作戦」の具体例を見てみたい方は、下をタップ(クリック)してください。
たとえば「感情の原因を表す不定詞」を教える場合、授業内容を4つのパーツに分けることができます。
(1)どんな文をつくるのかを説明する
(2)「感情を表す言葉」を教える

【演習】感情を表す言葉(sad, happy, excitedなど)の意味を覚え、自力で単語を読めるようにする。
(3)「感情の原因」を表す方法を教える

【演習】不定詞のカタマリを作る練習をする。
「あなたに会えて」to meet you
「それを知って」to learn that
(4) 文全体の作り方を教える

【演習】英作文や並べかえ問題に取り組む。
※各パーツについてもっとくわしく知りたい方は、不定詞「感情の原因」を分かりやすく教える方法とは?をご覧ください。
原因2. わかっているようで、じつはわかっていない
大人: 今の説明、わかった?
子ども: はい。
……と子どもが答えても、本当に理解しているとは限りません。「わかったつもり」になっている場合もあるのです。
一見わかっているようで、じつはわかっていない。そのため、説明を踏まえずに問題を解いてしまう、というわけです。
対策はコレ
「わかったつもり」で終わらせないための、簡単な方法があります。
それは「習った文法を子ども自身に説明してもらう」ということ。文法を教えたあと、大事なポイントを子ども自身に説明してもらうのです。
「現在進行形はどうやって作るんだった?」などと、たずねてみてください。パッと説明できそうですが、思いのほか手こずる子もいます。
説明するには、学んだことを頭の中で整理し、それを自分の言葉で言い直す必要があります。これは、授業内容をきちんと理解していないとできません。
理解があやふやなときは……
もし子どもがうまく説明できなかったら、文法をおさらいする絶好のチャンスです。
なぜか? それは、子どもが「答えを知りたい」モードになっているからです。
「あれ? うまく説明できない。なんだったっけ……?」と頭をフル回転させ、答えを探し求めています。

すると、欲しかったその答えが見つかったとき「そうか!」というインパクトがあり、答えが記憶に残りやすくなるのです。

「答えを知りたい」モードでないときは、答えが見つかっても「ふ~ん」で終わりがちですよね。
「自分でうまく説明できなかった」という体験があればこそ、文法の知識が定着しやすくなる、というわけです。
原因3. 文法を覚えても使い方がわからない
文法(文のルール)は知っているのに、その使い方がわからない。そういう子もいます。
たとえば「現在進行形の作り方」は知っていても、その知識を下のような問題にどう当てはめるのかがわからないのです。
次の英文を「~しているところです」という現在進行形の文に書きかえなさい。
My sister makes lunch.
どこをどういじれば現在進行形になるのか? そのプロセスを見出せなければ、「何をしていいのやら……」となるでしょう。
対策はコレ
演習問題に入る前に、例題を使って解き方を子どもと一緒に確認します。
大人が一方的にスラスラ解いてみせるのではありません。子どもに考える機会を作ってあげながら、解き方のプロセスを一緒にたどるのです。
「この文はどういう意味?」「現在進行形って、どんな形だった?」「この文の主語はどれかな?」
……などと、ひとつひとつ問いかけながら、子どもに考えてもらいます。答えにたどり着くまでの道のりを、大人と一緒に子ども自身が一度歩いてみる、というわけです。

そうすれば「何に気をつけながら、どのように歩く(=解く)べきか」がわかります。
さらに、道のり全体(=解き方のプロセス)がどんなものか見えると、演習のハードルもグッと下がるでしょう。「何をしていいのやら……」と途方に暮れることもなくなるはずです。
解き方を教えたら勉強にならない!?
「最初から解き方を教えたら勉強にならないのでは? 解き方を自力で考え出すこと自体が勉強でしょ」
……と思われたかもしれません。私も以前はそう思っていました。「あーでもない、こーでもない」と頭をひねることが大事なんだ、と。
たしかに、試行錯誤しながら解き方を探すこと自体が、良い学びとなります。
けれども、それは必ずしもすべての子に当てはまるわけではありません。
たとえば論理的に考えるのが苦手な子の場合、最初から自力で解き方を見出すのは、少し負荷が高いと思います。
いきなり問題に取り組んでも、わけがわからず自信をなくすこともあるでしょう。
そこで、「どのように考えればいいのか」を具体的に示してあげる必要があるのです。
ただし一方的に解き方を説明するのではなく、子どもと一緒に解き方のプロセスをたどってみてください。
原因4. 授業の流れをつかめていない
論理的に考えるのが苦手な子の場合、授業の流れをうまくつかめないことがあります。
「今、何の話がなされているのか? それは、さっきまでの話とどんな関係(つながり)があるのか?」
そういうことを考えながら授業を聞く、というのが苦手なのです。
そのため、演習に入ったとき「さっき習った文法を使えばいいんだな」と気づけない場合があります。子どもの頭の中では、説明と演習がバラバラになっているのでしょう。
大人は、「説明を踏まえて演習問題を解く」ことを、当たり前のように思うものですよね。けれども、子どもは「説明」と「演習」につながりを見出しているとは限らないのです。
対策はコレ
「ここまで何をしてきたか」「次は何をするのか」という授業の流れをハッキリと示します。
●今、現在進行形のルールを学んだよね。次は、現在進行形のルールを使って問題を解こう。
●今習った現在進行形のルールを使って、問題を解いてみよう。
上のように授業の流れを示せば、子どもも問題を解くときに文法の説明を踏まえやすくなるでしょう。
一方、下のような指示は、あまりおすすめしません。
では、問題を解いてみよう。
→「今習った文法」とは関係のないことが始まる、という印象を与えてしまうかもしれません。
今、現在進行形のルールを学んだよね。次は、そのルールを使って問題を解こう。
→「その」という指示語が何を指しているのか理解できない子の場合、「文法の説明」と「演習」のつながりが見えづらくなります。
子どもによっては、「そのルール」の代わりに、「現在進行形のルール」と具体的に言ったほうが伝わりやすくなるでしょう。
まとめ
直前の説明を踏まえず、的外れな解答をしてしまうのはなぜか? その原因と対策をご紹介しました。
●原因1. 頭の中で情報がごちゃごちゃ
【対策】説明するべきことを小分けにし、「簡潔な説明」→「演習」→「簡潔な説明」→「演習」、という流れで授業を進める。
●原因2. わかっているようで、じつはわかっていない
【対策】文法を教えたあと、大事なポイントを子ども自身に説明してもらう。
●原因3. 文法を覚えても使い方がわからない
【対策】例題を使って解き方を子どもと一緒に確認する。
●原因4. 授業の流れをつかめていない
【対策】「ここまで何をしてきたか」「次は何をするのか」という授業の流れをハッキリと示す。
この記事でご紹介した対策のうち、「やってみようかな」と思えることがあれば、ぜひ実践してみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
