勉強が苦手な中学生に、一般動詞の過去形をどう教えるか? そのコツをご紹介します。
勉強が苦手な子は「過去形を作るためのルールを覚えきれない」という問題にぶつかることがあります。
覚えるべきことがドッサリあるので、「難しい・めんどくさい」と思う子も多いでしょう。
そんな過去形への抵抗感をやわらげるには、どう教えたらいいのか? そのコツをお伝えします。
edのつけ方はザックリ教える
edのつけ方については、ザックリとした説明で教えるのがポイントです。
edのルール
まず、基本のルールを教えます。
ほとんどの場合、原形(もとの形)に ed をつける。(eで終わる単語には d だけつける)
(例) enjoy → enjoyed, live → lived
※ s や es のついた動詞(plays, watches など)を過去形にする場合、原形に戻してから ed をつける。
〇 played × playsed
次に、例外的なルールを教えます。その際、文法用語を使った下のような細かい説明はオススメしません。
オススメしない説明
●〈子音字+y〉で終わる動詞は、y を i に変えて ed をつける
●〈短母音+子音字〉で終わる動詞は、子音字を重ねて ed をつける
次のようにザックリとした説明がオススメです。
(1) 最後の y を i に変えて ed をつける、という動詞もある
(例) study → studied, try → tried
(2) 最後の文字をもう1つ足して ed をつける、という動詞もある
(例) stop → stopped
なぜザックリ教えるのか?
勉強が苦手な子は一度にたくさんのことを教わると、情報を整理しきれなくなります。すると「何をどうすればいいのか」がわからなくなってしまうのです。
そうであるなら、例外のルールに関しては、大まかな説明で済ませるべきです。つまり、文法用語を使った細かい説明は避けるのです。
「いろいろ習ったけど結局よくわからなかった」となるより、基本だけでもしっかり覚えたほうが、英語を断然理解しやすくなります。
ザックリ教えて大丈夫?
中学1年の段階では、例外的なルールに当てはまる動詞は限られています。それらの動詞を覚えておけば、文法問題も解けます。
「最後の y を i に変えて ed をつける」という動詞の例
このパターンの代表的な動詞といえば、study、try、cryです。まずは、この3つを覚えることをオススメします。もし教科書にあれば、carry も覚えるといいでしょう。
【注意】play や enjoy は ed をつけるだけです(y を i に変えません)。その点を強調して教えてあげてください(試験の引っかけ問題でよく出題されます。)
「最後の文字をもう1つ足して ed をつける」という動詞の例
このパターンでよく出てくる動詞は stop です。stop 以外の動詞については、学校のプリントや教科書に載っているもの(例 drop、plan)を教えてあげてください。
edの発音を教える
ed の発音は3種類あります。「ィドゥ」「トゥ」「ドゥ」です。「動詞の原形がどんな音で終わっているか」によって、3つを使い分けます。
使い分け方と、子どもに教えるときの注意点をご紹介します。
(1) トゥやドゥの音で終わる動詞のあと→ ィドゥ
(例) wanted, visited, started, needed
たとえば want「ウォントゥ」は「トゥ」の音で終わっているので、ed をつけると wanted「ウォンティドゥ」となります。
参考書には、よく「t や d の音で終わる動詞のあと」と載っています。けれども「t や d の音」と言われても、パッとわからない子もいるでしょう。(「トゥやドゥ」ではなく、「ティーやディー」だと思う子もいるはずです。)
ですので、カタカナで「トゥやドゥの音」と説明することをオススメします。
(2) プ・フ・ス・シュ・ク・チの音で終わる動詞のあと→ トゥ
(例) helped, laughed, practiced, washed, liked, watched
(3) 1と2以外→ ドゥ
(例) played, lived, studied
たとえば practice「プラクティス」は「ス」の音で終わっているので、ed をつけると practiced「プラクティストゥ」となります。
(2)と(3)について、参考書にはよく下のような使い分け方が載っていますが、私はあまりオススメしません。
オススメしない説明
● t 以外の無声音で終わる動詞のあと→ トゥ
● d 以外の有声音で終わる動詞のあと→ ドゥ
(発音したときにノドが震えるのが有声音、震えないのが無声音です。)
オススメしない理由は、「多くの子どもたちは、そもそも無声音・有声音が何なのかをよくわかっていないから」です。
たとえわかっていたとしても、無声音と有声音を正しく発音できないと、この判断基準は使えません。
たとえばlookの〈k〉は無声音ですが、ローマ字で〈ku〉と書いたときのように「クゥ」と発音すると、有声音になってしまいます。
ですので、上でご紹介したように「プ・フ・ス・シュ・ク・チの音で終わる動詞のあと→ トゥ」と教えてみてください。
なお、「プ・フ・ス・シュ・ク・チ」とは「t 以外の無声音」を具体的に挙げたものです。
ed の発音
(1) トゥやドゥの音で終わる動詞のあと→ ィドゥ
(2) プ・フ・ス・シュ・ク・チの音で終わる動詞のあと→ トゥ
(3) 1と2以外→ ドゥ
覚えるべき不規則動詞を厳選する
勉強が苦手な子に不規則動詞をいきなり何十個も覚えるよう指導するのは、オススメしません。まずは、いくつか厳選するのがいいでしょう。
厳選するワケは?
動詞をいくつか厳選する理由は、子どもに「頑張ればできるかも」と思ってもらうためです。
勉強が苦手な子は、いきなり不規則動詞の長いリストを見せられたら、「こんなに覚えるなんてムリ」とあきらめてしまうでしょう。特に、動詞の原形がうろ覚えの子にとって、過去形まで覚えるのは簡単ではありません。
そこで、教科書によく出てくる不規則動詞をいくつか厳選し、「まずは、これだけ覚えよう」と子どもに伝えてみてください。
「頑張れば達成できるかも」と思えるくらいの現実的な目標を立てたほうが、子どもも単語の練習に取り組みやすくなります。
覚えるべき動詞の例
教科書によく出てくる動詞を下に載せておきますね。動詞のリストを作るときの参考にしてみてください。
覚える動詞の数は、「頑張れば覚えられそう」と子ども自身が思えるくらいが理想的です。
原形 | 過去形 |
---|---|
do | did |
come | came |
eat | ate |
get | got |
go | went |
have | had |
make | made |
meet | met |
read | read |
see | saw |
take | took |
write | wrote |
まとめ
この記事では、「一般動詞の過去形を教えるときのコツ」についてお伝えしました。
特に大事なポイントはこちらです。
「情報を削ぎ落してザックリ教える」
覚えるべきことを厳選して教えれば、子どもが要点を把握しやすくなります。ぜひ、実践してみてください。
オススメの問題集3選
書店やネットで英語の基礎問題集を選ぼうとしたけど、たくさんありすぎて、結局どれがいいのかわからなかった……という経験はありませんか?
そこで、「これは使いやすい」と私が思った基礎問題集を3種類ご紹介します。どれも一長一短ではありますが、英語の基礎を学びやすい作りになっています。
よかったら参考にしてみてください。
(1)「ひとつずつ すこしずつ ホントにわかる」(英語)学年別シリーズ(新興出版社)
文法の解説がスッキリまとまっており、要点がパッとわかります。
また、単元によっては練習問題の前に、例題と解答が載っています。これはポイントが高いと思います。文法問題に慣れていない子も「こんなふうに解けばいいんだな」というのがわかりますからね。
さらに並べかえ問題には、パズル感覚で取り組めるような工夫が施されています。
今回ご紹介する3種類の中では、勉強が苦手な子にとって、最も取り組みやすい練習問題だと思います。
(2)「ひとつひとつわかりやすく。改訂版」(英語)学年別シリーズ(Gakken)
文法の解説がとにかくわかりやすいです。「文法の教え方がわからない」という保護者や家庭教師の方が、この解説を参考にしながら教える、というのもオススメです。
イラストが豊富なので、「文字だけで説明されるより、イラストもあったほうが理解しやすい」というお子さんに向いています。
(3)「英文法 パターンドリル」学年別シリーズ(文英堂)
知識を定着させるためのドリルです(文法の解説は最小限に抑えられています)。
各単元で、重要構文が何度も繰り返し出てきます。これぞ、まさに「ドリル」。徹底的に反復練習をしたい、というお子さんにオススメです。
「この単元のキモは何か?」を意識しやすい作りになっています。
「それぞれの問題集の良い点・注意点をくわしく知りたい」という方は、下の記事をチェックしてみてください。
【徹底比較】英語が苦手な中学生向け基礎問題集3選。使いやすさを比べてみた
最後までお読みいただき、ありがとうございました。