「現在完了形は、過去形と何が違うの?」
「“現在完了形は、過去と現在がつながっている”と習ったけど、どうつながっているのかがわからない」
……と中学生に言われたら、どう答えますか?
現在完了形は日本語にない概念なので難しいですよね。お子さんの勉強を見ている保護者の中には、「子どもに教える前に現在完了形を復習したい」という方もいるかもしれません。
そこでこの記事では復習の意味も込めて「現在完了形と過去形の違い」を解説しながら、中学生に教えるときのポイントをご紹介します。
現在完了形と過去形の違い
結論から言うと、過去形は「終わったこと・過去のこと」に注目しています。一方、現在完了形が伝えたいのは「現在」の話です。
では2つの違いをくわしく見ていきましょう。中学生に教えるときの参考にしてみてください。
現在完了形の特徴
たとえばあなたがキッチンの大そうじをしたとします。コンロもシンクもピッカピカ!数日後、遊びに来た友人に自慢したくて、こう言いました。
見て。ジャ~ン! キッチンをそうじしたんだ。
あなたは、単に「そうじした」という過去の出来事を報告したかったわけではありません。
「そうじしたおかげでピッカピカ。すごいでしょ」というニュアンスを込めたのですよね。
このように、「過去にこんなことがあって、その影響で今こうなっている」と伝えたいときには、現在完了形を使います。
I have cleaned the kitchen.
キッチンをそうじしたんだ。
(→だからピッカピカ。すごいでしょ)
このケースでは〈I have cleaned the kitchen.〉の中に、「ピッカピカ。すごいでしょ」というニュアンスが込められています。
現在完了形を使うと、このように、
- 過去の影響が今も残っている
- 過去の影響で今こうなっている
……と表すことができるのです。(どんなニュアンスが込められているかは、話の流れ(文脈)で決まります。)
つまり現在完了形は「今」にスポットライトを当てている、と言えます。

「過去の影響を、今バンバン受けている」と言いたいときに使うのが現在完了形です。
過去形の特徴
ある日の朝、あなたと同僚がおしゃべりをしています。
同僚: What did you do over the weekend? 週末、何した?
あなた: I cleaned the kitchen. キッチンをそうじした。
〈I cleaned the kitchen.〉からは、「そうじした結果、今どうなっているか」は読み取れません。
現在完了形とは違い、過去形には「過去の影響で今こうなっている」というニュアンスは含まれていないのです。(キッチンはまだピカピカかもしれないし、すでに油でギトギトかもしれません。)
〈I cleaned the kitchen.〉からわかるのは、「そうじした」という過去の出来事だけ。過去形は、あくまで過去の出来事にスポットライトを当てるのです。

●現在完了形を使うと、過去の出来事を報告しながら、「過去の影響で今どうなっているか」というニュアンスを込めることができる。
●どんなニュアンスかは、文脈(話の流れ)で決まる。
●過去形には、「今どうなっているか」というニュアンスは含まれない。
中学生に教えるときのポイント
現在完了形は、「過去の影響が今も残っている」「過去の影響で今こうなっている」ということを表しています。
それを子どもに理解してもらうには、例文の「状況設定」が大事です。例文を見せるときに、「どんな状況(場面)での話なのか」を説明しておくのです。
というのも、状況設定がないと「(過去の影響で)今どうなっているか」がわかりにくいからです。
たとえば下の文を見てください。
I have just finished the ice cream.
ちょうどアイスを全部食べたところだ。
いきなりこの文だけを見せられても、「全部食べて、今どうなっているのか」がハッキリ伝わってきません。
「全部食べたから、今おなかがいっぱいだ」という意味かもしれないし、「全部食べたから、もうアイスは残っていない」という意味にも取れます。
つまり、状況設定がないと「今どうなっているか」がわかりにくいのです。
そして、「今どうなっているか」がわからないと、子どもは現在完了形を理解しづらいでしょう。過去形との違いが見えないからです。
「アイスを全部食べた影響で今どうなっているか」がわからないと、「アイスを全部食べた」という過去の出来事だけに意識が向きます。そうなると、過去形との違いは見えてきません。
ですので、例文を見せるときには「どんな状況(場面)での話なのか」を説明することが大事です。
次のセクションで、例文や状況設定の具体例をご紹介します。
例文や状況設定の具体例
「過去の影響が今も残っている」「過去の影響で今こうなっている」という説明の意味を理解するには、例文にたくさん触れるのが一番です。
例文に触れれば触れるほど、過去形との違いが見えやすくなります。
では、現在完了形の用法ごとに例文や状況設定を見ていきましょう。中学生に教えるときの参考にしてみてください。
完了用法
「何か出来事が終わって、その結果、今こうなっている」と表現するのが完了用法です。
完了用法【例1】
朝、AさんとBさんが大急ぎでバス停に向かいます。けれども、ひと足違いでバスに間に合いませんでした。
A: ああ~マズい!
B: The bus has just left. バスがちょうど行ってしまった。
(→どうしよう!遅刻する)
〈過去の影響で今どうなっているか? 〉→遅刻決定だ。大ピンチだ。

「バスが出発した」という出来事の影響が、今も残っている。それを伝えているのが上の文です。ここでは「遅刻する。大ピンチだ」というニュアンスが含まれています。
もし過去形で〈The bus left.〉と言った場合、「バスが出発した」という過去の出来事を伝えているだけです。今どんな状況になっているかは、わかりません。

完了用法【例2】
AさんとBさんがおしゃべりしています。
A: 冷凍庫にアイスが残ってたはず。いっしょに食べない?
B: I have already finished it. もう全部食べちゃった。
(→だから残ってない。ゴメン)
〈過去の影響で今どうなっているか? 〉→ アイスは残っていない。

「全部食べた」という出来事の影響を今も受けている。それを伝えているのが上の文です。「アイスは残っていない」というニュアンスが読み取れます。
もし過去形で〈I finished it.〉と言った場合、「全部食べた」という過去の出来事を報告しているだけです。

過去形の文からは、「今どうなっているか」までは読み取れません。(アイスは今もないかもしれないし、買ってきてあるかもしれません。)
経験用法
「過去にこんなことを経験して、その影響で今こうなっている」と表現するのが経験用法です。
経験用法【例1】
Aさんと Bさんがおしゃべりしています。
A: 最高だよ、このマンガ。
B: 僕も大好き。セリフ、全部覚えてる。
A: 本当?
B: I have read it many times. 何度も読んだことあるんだ。
(→だからこのマンガのことなら何でも知ってるよ)
〈過去の影響で今どうなっているか? 〉→ マンガにくわしい。セリフを覚えている。

「何度も読んだ」という出来事の影響が、今も残っている。それを伝えているのが上の文です。「何度も読んだから、このマンガにくわしい」というニュアンスが含まれています。
もし過去形で〈I read it many times.〉と言った場合、「何度も読んだ」という過去の出来事を伝えているだけです。

経験用法【例2】
中学生の Aさんと Bさんが、来週の校外学習について話しています。
A: 校外学習、楽しみだね。
B: 〇〇博物館じゃなくて、どこか別のところに行きたかった。
A: なんで?
B: I have been there three times. 博物館には3回も行ったことがあるんだ。
(→だから新鮮味がない。つまらない)
〈過去の影響で今どうなっているか? 〉→ 博物館にあきてしまった。つまらない。

「3回行った」という出来事の影響が、今も残っている。それを伝えているのが上の文です。「3回も行ったから、もうあきた。行きたくない」というニュアンスが読み取れます。
もし過去形で〈I went there three times.〉と言った場合、「3回行った」という過去の出来事を伝えているだけです。

継続用法・現在完了進行形
「(過去から今まで)ずっと~し続けている・ずっと~だ」と表現するのが、現在完了形の継続用法や現在完了進行形です。
継続用法【例】
Aさんが、元気のない Bさんに声をかけます。
A: なんか元気ないけど、大丈夫?
B: I have been busy since last month. 先月からずっと忙しくて……。
(→だからクタクタなんだ)
〈過去の影響で今どうなっているか? 〉→ (1) 先月忙しくなり、その流れで今も忙しいままだ。(2) ずっと忙しくて、今クタクタだ。

もし過去形で〈I was busy last month.〉と言った場合、「今も忙しいかどうか」「今クタクタかどうか」はわかりません。

また、現在形で〈I am busy.〉と言った場合、「これまで忙しかったかどうか」はわかりません。

現在完了形と同じく、現在形も「今」にスポットライトが当たっています。けれども「過去の影響を受けているかどうか」は、現在形からは読み取れません。
現在完了進行形【例】
Aさんが家族とカラオケを楽しんでいたところ、ある問題が起こりました。祖父がなかなかマイクを手放してくれないのです。そこで Aさんはこう言いました。
ほかの人にも歌わせて。
You have been singing for an hour! おじいちゃん、1時間も歌ってるじゃない!
(→いい加減にして。もういいでしょ。)
〈過去の影響で今どうなっているか? 〉→ (1) 1時間前に歌い始め、それがきっかけでまだ歌っている。 (2) 祖父がマイクを独占してきたので、Aさんはイライラしている。

もし過去進行形で〈You were singing an hour ago.〉と言った場合、ハッキリしているのは「1時間前、歌っていた」ということだけです。今どうなっているかはわかりません。

また、現在形で〈You are singing.〉と言った場合、「これまで歌い続けてきたかどうか」はわかりません。

以上、「現在完了形と過去形の違い」や「中学生に教えるときのポイント」をご紹介しました。最後までお読みいただき、ありがとうございます。