【単語テスト対策】勉強習慣がない子向けの実践しやすい対策

単語テスト対策 中学英語の教え方

「勉強の習慣がない子が、英語の単語テストで少しでも書けるようにするには、どうすればいいのか?」「学校から渡された長い単語リストを前に、途方に暮れてしまう」

そうお悩みの保護者や家庭教師の方に、現実的で実践しやすい対策をご紹介します。よかったら参考にしてみてください。

〈この記事のトピック〉

  • リストの単語を全部覚えさせようとしないほうがいい
  • どんな単語を覚えるべきか?
  • 単語の練習方法
  • 【まとめ】ハードルの低さが成功のカギ

リストの単語を全部覚えさせようとしないほうがいい

勉強の習慣がない子に、単語リストの単語を全部覚えさせようとしても、うまくいかないことは少なくないと思います。「こんなに覚えるなんてムリ」と、子どもが最初からあきらめてしまうことが多いからです。

子どもがあきらめてしまっては、何も始まりません。

そこでオススメなのは、覚えるべき単語の数をしぼる、というやり方です。「頑張れば自分にも覚えられるかも!」と子どもが思える程度の数に厳選するのです。

大人でもそうですけど、「できるかも!」と思えればこそ、何かにチャレンジしようという気になれるものですよね。

何か課題がたくさんあるときには、思い切って課題をしぼると、行動に移しやすくなります。全部やろうとして結局動き出せないでいるよりも、ターゲットをしぼったほうが前へ進めます。

では、単語の数をしぼるにはどうすればいいのか?

どんな単語を覚えるべきか?

単語の数をしぼるために、まず、覚えるべき単語の候補を選びます。

候補としてオススメの単語

■動詞

教科書の後ろにある単語一覧表に、太字で印刷されている動詞が特にオススメです(「動」というマークがついているのが動詞です)。

動詞は、英語を読む上で特に重要な言葉です。動詞の意味を知っていれば、(知らない単語がほかにあっても)文の内容を推測しやすくなります。

また、太字で印刷されている動詞は、さまざまな単元で繰り返し出てくる可能性が高いです。そのため一度しっかり覚えておけば、英語の授業も理解しやすくなるでしょう。

■短い単語(文字数の少ない単語)

■日本語(カタカナ)にもなっている単語(例 get, best, catch)

候補として優先順位が低い単語

■教科書の後ろにある単語一覧表に、細字で印刷されている単語

■特定のテーマでしか出てこない単語

たとえば防災がテーマの単元では、emergency や disaster といった単語が出てきますが、ほかの単元では、ほぼ出てきません。

そのため、頑張って覚えたとしても、(中学校では)使う機会がほかにないのです。それは残念ですよね。勉強の習慣がない子にとって、単語を覚えるのは本当に大変なことですから。

せっかく覚えるのであれば、教科書に何度も出てくる単語を優先したほうがいいです。覚えた単語が、のちのち何度も教科書に出てくれば、子どもも達成感を得られるでしょう。「知ってる単語が前より増えた」と。

単語をいくつ覚えるか?

覚えるべき単語の候補をあげたら、その中から「どれを覚えるか・いくつ覚えるか」を決めます。子ども自身に、「頑張れば覚えられるかも!」と思えるくらいの単語を選ばせてみてください。

なぜ子どもに選ばせるのか? それは、子どもが自分で決めたことに責任を持って、主体的に取り組むようにするためです。

大人に「これを覚えなさい」「〇〇個覚えなさい」とすべて指示されたら、どうしても「やらされてる感」がありませんか? 私が子どもだったら、間違いなく「めんどくさい」と思ってしまいます。

でも、自分で決めると、不思議なことに当事者意識が生まれるんですよね。そこまでいかなくても、少なくとも「やらされてる感」はやわらぐはずです。そうなれば、単語の練習に取り組みやすくなるでしょう。

それに、「自分で考えて決める」ということ自体も勉強のうちです。ぜひ、子どもに単語を選ばせてみてください。

単語の練習方法

単語の練習方法は言葉だけで説明しても、子どもはうまく練習できないと思います。説明を聞いても、「わかったつもり」になって終わり、ということもあるからです。

そこで、大人が隣でサポートする中、「単語を練習する」という体験を一度させてみてください。そのあと、「自分ひとりで単語を練習するときにも、今と同じようにしてね」と伝えるのがいいでしょう。

勉強の習慣がない子の場合、次の手順で練習すると覚えやすいと思います。

1. 「読み方」と「意味」にフォーカスする

書く練習は、ひとまず横に置いておき、単語の「読み方」と「意味」にフォーカスします。単語の隣に読み方(カタカナ)と意味を書き添えておいてください。

まず、「なるべく単語だけを見ながら発音し、意味も言う」という練習をします。わからなくなったら、その都度、読み方や意味を確認します。

何度か繰り返し練習したら、子どもに自分でテストさせましょう。単語だけを見てパッと発音できるか? 意味を言えるか? それを子どもが自分でテストするのです。(読み方や意味をノートなどで隠してテストしてください。)

ここで重要なのは、「完璧に覚えていなくてもいいので、とりあえずテストしてみる」ということ。練習したこと(インプットしたこと)をなんとか思い出そうとしてみる(アウトプットしてみる)のです。

完璧に覚えてから最後にテストするよりも、最初からインプットとアウトプットをセットにして取り組むのがオススメです。

アウトプットするときに、「え~と、なんだっけ」と思い出そうとする。そのプロセスがあったほうが記憶に残りやすいからです。

なお、子どもによっては、「自分でテストする」という経験をしたことがない子もいます。ですので、大人が隣でサポートしながら、ぜひ一度体験させてみてください。

※【関連記事】「英単語の読み方。ほとんど読めない子に読み方を教えるときのコツ」も参考にしてみてください。

2. 書いて覚える

たとえば単語を10個覚えるとします。そのとき、一気に全部書いて覚えるのは大変ですよね。そこで、10個を3つくらいのブロックに分けて覚えます。

run, come, getがブロックA。take, eat, walkがブロックB。my, your, big, smallがブロックC。

まずは、ブロックA にフォーカスしましょう。

1番目の単語(run)を2~3回書いて練習したら、何も見ずに書けるかどうか、自分でテストします。

同じことを、2番目と3番目の単語(come、get)でも繰り返してください。

そのあと、ブロックA の単語すべて(run、come、get)について、覚えているかどうか自分でテストします。

これで、ブロックA のインプットとアウトプットがひと通り終わりました。このあとは、ブロックB と C についても同じことを繰り返します。

こんなふうに単語を小分けにすれば、覚えるのがだいぶラクになるでしょう。

しかも、自分でちょくちょくテストすれば、「覚えられた!」という手応えを得る機会も増えます。そうなれば「前へ進んでいる」という感じがするので、挑戦し続けやすくなるはずです。

ゲームをするときも、「前へ進んでいる」という実感があればこそ、もっとやりたくなりますよね。単語の場合、「もっとやりたい!」とまでいかなくても、投げ出しにくくなると思います。

3. 毎日取り組む

単語の練習は毎日コツコツしましょう。「コツコツ」なんて、目新しいアドバイスでもなんでもありませんけど、私の経験から言うと、「コツコツ」は最強です。

一日だけガーッと勉強しても、あっと言う間に、きれいさっぱり忘れてしまいます。私もそういう経験を(こりもせず?)何度もしてきたので、自信を持ってこう断言できます。「コツコツ」に勝る勉強法はありません。

単語テストの前は、1週間だけでもいいので、毎日練習してみてください。

覚えるべき単語の数によっては、「毎日、各単語を2~3回ずつ書いて練習し、テストする」というのは大変かもしれません。

その場合、「1回ずつ書いて練習し、テストする」という日があってもいいと思います。要は「ちょっとでもいいので、毎日練習する」ということです。

覚えた単語と、覚えていない単語を仕分けるべきか?

「覚えた単語」と「まだ覚えていない単語」を仕分け、覚えていない単語だけに集中して取り組む。そういうやり方を実践してきた方もいるでしょう。とても理にかなった勉強方法ですよね。

けれども、この方法は、勉強の習慣がない子には向いていないかもしれません。

というのも、勉強に慣れていないと、「覚えたかどうか」を自分で判断することは難しいからです。一度書けると「覚えた気になってしまう」ということもよくあります。

そこで、勉強に慣れるまでは「単語を仕分けず、すべて練習する」ことをオススメします。

【まとめ】ハードルの低さが成功のカギ

勉強の習慣がない子が毎日単語を練習するためには、次のようにハードルを低くしておくことがポイントです。

■覚えるべき単語の数をしぼる

■各単語を毎日2~3回書いてテストする(疲れていたりする日は、1回だけでもいいので練習しよう!)

■単語テスト前の1週間だけでもいいので、毎日練習する

苦手なことに挑戦するとき、一番大変なのは最初の一歩です。自転車に乗るとき、こぎ始めが一番きついのと同じですね。

そんな一番きついときに、目の前に砂利だらけの急な上り坂があると、こぐ気など吹き飛んでしまいます。逆に、舗装された平らな道なら、こぎ出しやすいでしょう。

子どもたちも最初の一歩を踏み出しやすいように、勉強のハードルを低くしてみてください。

教える側の大人にしてみれば、「単語100個のうち、たったの〇〇個しか覚えないなんて!」などと思うかもしれません。確かに、じゃんじゃん覚えてほしい気持ちはありますよね。

けれど、大事なのは「何個であれ子どもが書けるようになり、達成感を味わうこと」です。そうやって小さな成功体験を積み重ねればこそ、勉強しようという気にもなれるものです。