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canの教え方|勉強が苦手な子の意外なつまずきポイントとは?

canの意外なつまずきポイント
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勉強が苦手な子は助動詞 can を勉強するとき、思いがけないところでつまずくことがあります。そのため、can の意味や「can の後ろに動詞の原形を置く」というルールを知っていても、英文を正しく作れないケースがあるのです。

その「意外なつまずきポイント」とは何か? どのように教えれば子どもが理解しやすくなるか? この記事で詳しくお伝えしますね。

※この記事で扱うのは、「~できる」という意味のふつうの文(平叙文の肯定文)です。

意外なつまずきポイント

勉強が苦手な子の「意外なつまずきポイント」は、2つあります。

言葉の「意味」ではなく「字面」に注目している

「“~できる”と言うには can を使う」と教わったとき、「~できる」という言葉の字面だけにフォーカスする子がいます。「~できる」に含まれる「可能・能力」といった意味は考えず、「~できる」という文字の見た目に注目するのです。

すると日本語を英語に訳すときに、問題が生じます。can を使うかどうかを「~できる(できます)」という字面だけで判断してしまうのです。

その結果、たとえば(「泳ぐことができる」ではなく)「泳げる」という文を訳すとき、can という単語が思い浮かびません。

子どもの頭の中では、「~できる(できます)」という形だけが can と結びついているのです。

「泳ぐ」と「泳げる」の違いがパッとわからない

「泳ぐ」と「泳げる」、「読む」と「読める」などの違いがパッとわからない子もいます。そういう子は、たとえば「私は速く泳げる」を、〈I swim fast.〉と訳してしまいます。「泳げる」を「泳ぐ」の意味に取ってしまうのです。

そんな子どもたちも、ふだんの会話では「泳ぐ」と「泳げる」を無意識に使い分けています。

ですが意識的に使い分けるとなると、話は別。「泳ぐ」と「泳げる」の違いがわからなくなるのです。

「まさか」と思われるかもしれません。けれど「ふだん無意識に使い分けているが、その違いを説明するのは難しい」という状況は、大人にもありますよね。たとえば、「は」と「が」の違いを説明するのは難しくありませんか?

ふだん話している言葉だからといって、意識的に使い分けられるとはかぎりません。特に、勉強が苦手な子は言葉をじょうずに操れないことがよくあります。

そのため、「泳ぐ(泳ぎます)」と「泳げる(泳げます)」の違いがわからず、英文を正しく書けないことがあるのです。

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母語(日本語)にまつわる問題を下の記事でも取り上げています。ぜひご覧ください。
母語力が低いと、なぜ〈This is a book.〉を訳せないのか?

問題集を解けても、理解しているとはかぎらない

問題集に、「私は泳げる」という文が出てきたとします。それを正しく英語に訳せたとしても、「泳ぐ」と「泳げる」の違いを理解しているとはかぎりません。

ふつう、can の練習問題では can を使った文しか出てきません。ですので、「泳ぐ」と「泳げる」の違いを意識しなくても、〈can + 動詞の原形〉というパターンにのっとれば正解できてしまいます。

日本文にあまり注意を払わなくても、例文などのパターンをマネすれば、正しい英文を書けることがあるのです。

そのため、「泳ぐ」と「泳げる」の違いを理解しないまま can の単元を終える、ということもあり得ます。

canの教え方3ステップ

上で見てきたように、勉強が苦手な子には2つの「つまずきポイント」があります。

  • 言葉の「意味」ではなく「字面」に注目している
  • 「泳ぐ」と「泳げる」の違いがパッとわからない

では、どのように can を教えればいいのか? そのアイデアをご紹介します。3つのステップに分けて教える方法です。

1. can の使い方に慣れさせる

can の意味と使い方について、下の3点を子どもに説明します。ポイントは、例文に「~できる(できます)」という形の日本語を使う、ということです。

(「~できる(できます)」ではなく)「泳げる(泳げます)」「読める(読めます)」といった形の日本語は、まだ出しません。


〈can の説明〉

(1) 「~できる(できます)」と言いたいときは、can を使う。

(2) can の後ろに動詞を置く。

(例) 私は英語を読むことができます。
〇 I can read English.
× I read can English.

(3) can の後ろの動詞は、原形(もとの形)にする。主語が何であれ、動詞に s はつけない。

(例)
〇 He can read English.
× He can reads English.

※「3単現の s」をまだ習っていない場合、(3) の説明は省いてください。


説明のあとは練習問題(穴うめ問題、英作文など)に入りましょう。練習問題の日本文にも、「~できる(できます)」形だけを使うのがポイントです。

2.「泳げる(泳げます)」形について説明する

ここでようやく、「泳げる(泳げます)」形を登場させましょう。

「~できる(できます)」形は、「泳げる(泳げます)」形に言い換えることができる、と子どもに説明します。


〈教え方の例〉

「泳ぐことができる」は、「泳げる」と言い換えることができるよ。「泳げる」という言葉にも、「泳ぐことが可能だ」とか「泳ぐ能力がある」という意味が含まれているよね。

「泳ぐ」以外の動詞も、言い換えることができるよ。

(例)
読むことができる(できます)→ 読める・読めます

走ることができる(できます)→ 走れる・走れます

「泳げる・泳げます」「読める・読めます」「走れる・走れます」といった文を英語に訳すときも、can を使おう。

私は英語が読める(読めます)
I can read English.


説明のあとは、練習問題に取り組むことをオススメします。その際、日本文には「泳げる(泳げます)」形を使ってくださいね。

3. 言葉の違いを強調する

「泳ぐ」と「泳げる」、「読む」と「読める」などの違いについて説明しましょう。子どもが日本語をよく見るクセをつけられるように、アドバイスしてください。


〈教え方の例〉

たとえば「泳げます」と「泳ぎます」は、見た目は似ているけど意味は全然違うよ。

私は速く泳げます(泳げる)
I can swim fast.

→「泳ぐことができる」という能力について話している。英文では can を使おう。

私は毎日泳ぎます(泳ぐ)
I swim every day.

→ふだんの習慣について話している。能力の話をしているわけではなくて、「ふだん、泳ぐ」と言っているだけだよ。

日本語の文を英語に訳すときは、まず日本語をじっくり見よう。「~できる」という能力について言っているのか? それとも「~する」という、ふだんの習慣について言っているのか? よく考えよう。


説明のあとは、下のような練習問題をオススメします。子どもによっては難しいかもしれませんが、間違えても大丈夫。大事なのは「日本語を意識するクセをつける」ということです。

日本語と同じ意味になるように、( )内から適切な語句を選びましょう。

私はたこやきを作れます。
I ( make / can make ) takoyaki.

私は毎朝走ります。
I ( run / can run ) every morning.

私は速く泳げる。
I ( swim / can swim ) fast.

私はピアノを弾く。
I ( play / can play ) the piano.

まとめ

この記事では、助動詞 can にまつわる「意外なつまずきポイント」を2つご紹介しました。

●「~できる」という言葉の「意味」ではなく「字面」に注目している

→ can を使うかどうかを「~できる(できます)」という字面だけで判断してしまう

●「泳ぐ」と「泳げる」の違いがパッとわからない

→「泳ぐ」と「泳げる」、「読む」と「読める」などを意識的に使い分けることができない

助動詞 can をうまく使えない子は、上のような問題にぶつかっている可能性があります。教える際に、can の教え方3ステップを参考にしてみてください。

オススメの問題集3選

書店やネットで英語の基礎問題集を選ぼうとしたけど、たくさんありすぎて、結局どれがいいのかわからなかった……という経験はありませんか?

そこで、「これは使いやすい」と私が思った基礎問題集を3種類ご紹介します。どれも一長一短ではありますが、英語の基礎を学びやすい作りになっています

よかったら参考にしてみてください。

(1)「ひとつずつ すこしずつ ホントにわかる」(英語)学年別シリーズ(新興出版社)

文法の解説がスッキリまとまっており、要点がパッとわかります。

また、単元によっては練習問題の前に、例題と解答が載っています。これはポイントが高いと思います。文法問題に慣れていない子も「こんなふうに解けばいいんだな」というのがわかりますからね。

さらに並べかえ問題には、パズル感覚で取り組めるような工夫が施されています。

今回ご紹介する3種類の中では、勉強が苦手な子にとって、最も取り組みやすい練習問題だと思います。

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(2)「ひとつひとつわかりやすく。改訂版」(英語)学年別シリーズ(Gakken)

文法の解説がとにかくわかりやすいです。「文法の教え方がわからない」という保護者や家庭教師の方が、この解説を参考にしながら教える、というのもオススメです。

イラストが豊富なので、「文字だけで説明されるより、イラストもあったほうが理解しやすい」というお子さんに向いています。

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(3)「英文法 パターンドリル」学年別シリーズ(‎文英堂)

知識を定着させるためのドリルです(文法の解説は最小限に抑えられています)。

各単元で、重要構文が何度も繰り返し出てきます。これぞ、まさに「ドリル」。徹底的に反復練習をしたい、というお子さんにオススメです。

「この単元のキモは何か?」を意識しやすい作りになっています。

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「それぞれの問題集の良い点・注意点をくわしく知りたい」という方は、下の記事をチェックしてみてください。

【徹底比較】英語が苦手な中学生向け基礎問題集3選。使いやすさを比べてみた

最後までお読みいただき、ありがとうございました。